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製造物責任で重要な「通常の用法に従って使用したか」

 トラックの設計・製造の欠陥に関する判断は、2段階に分かれる(図5)。まず、「原告がトラックを通常の用法に従って使用していたか」「車両の点検・整備に事故の原因を発生させる不備がなかったか」を判断。「通常の用法に従って使用しており、点検・整備に不備がなかった」と認められれば、製造物責任法に基づき、トラックの設計・製造に欠陥があったと推認される。原告はトラックの設計・製造の欠陥について、どこにどのような欠陥があるか、どのようなメカニズムで事故が発生したかといった詳細を立証する必要がなくなり、被告は「欠陥がある」という推認を覆す使用者の誤った使用や、他の原因の存否を立証しなければならなくなる。

図5 設計・製造の欠陥に関する判断の流れ
図5 設計・製造の欠陥に関する判断の流れ
(出所:日経クロステック)
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 逆に「通常の用法に従って使用しており、点検・整備に不備がなかった」と認められなければ、原告がトラックの設計・製造に欠陥があったと立証しなければならなくなる。つまり、「事故の原因はコンロッドの設計・製造の欠陥にある」と立証する必要が生じるのだ。

全車両の車両管理カルテを作成、オイルは3万kmごとに交換

 東和運送はトラックを「通常の用法に従って使用しており、点検・整備に不備はなかった」と主張した。同社はまず「所有する全車両について、車両ごとの車両管理カルテを作成。整備や修理歴を管理していた」と管理体制について説明。「オイルとオイルフィルターは、被告の取扱説明書が求めている『5万kmごと』よりも短い『3万kmごと』をめどに交換していた」と、オイルやオイルフィルターの交換も問題ないと訴えた。

 エアクリーナーについても、「ほぼ月に1回はインジケーターを確認し、清掃もしていた」と強調。「3回目のオイル交換時(約9万kmごと、約半年ごと)にエアクリーナーエレメントを交換していた」とメンテナンスが十分であると主張した。

 これに対して被告いすゞ自動車は次のように主張。東和運送によるトラックの使用状況やメンテナンス状況は「問題が多く、適正でなかった」と反論した。

 例えば、「2011年12月21日、オイルが下限値よりも3.5リットル不足した状態で走行させた」「2012年5月16日には、オイル交換時にオイル漏れが発見された」などと指摘。事故後に車両のオイルからケイ素や摩耗金属分が検出され、オイルパンにはスラッジが堆積していたことなどから、「適切にオイルメンテナンスがなされていなかった」と訴えた。

 いすゞ自動車が推奨する純正品ではなく、非純正品を使用していた点や、エアクリーナーエレメントのメンテナンス基準に反し、「5000kmごとに求められるインジケーターの点検を怠っていた」などとして、エアクリーナーのメンテナンスにも不備があるとした。