2022年から2023年初頭にかけて、世界的に衛星打ち上げロケットの打ち上げ失敗が続いた。例えば2022年10月12日には日本のイプシロンロケット6号機が姿勢制御系トラブルで失敗。同年12月14日(現地時間)には中国の宇宙ベンチャーであるLandspace(ランドスペース)の液体ロケット「朱雀2号」の初打ち上げが2段姿勢制御系のトラブルで失敗。同年12月20日(同)には、フランスArianespace(アリアンスペース)の小型ロケット「ヴェガC」2号機が失敗した。
年が明けて2023年1月10日(同)には、米Virgin Orbit(ヴァージン オービット)が空中発射型衛星打ち上げロケット「ランチャーワン」6号機を英国から打ち上げたが、これも失敗した。
いずれも10号機以前の、比較的新しいロケットである点で共通している。2010年代に入ってから立ち上がった新ロケット計画が初号機打ち上げを迎え、さらには初期運用段階に入り、初期トラブルによる打ち上げ失敗を起こすようになってきたのだ。
2023年以降、日本の「H3」ロケット、米United Launch Alliance(ULA、ユナイテッド・ローンチ・アライアンス)の「ヴァルカン」、アリアンスペースの「アリアン6 」、米Blue Origin(ブルーオリジン)の「ニューグレン」、米SpaceX(スペースX)の「スターシップ」と、大型で各国の次世代宇宙輸送の主力を担うことになる新ロケットの初号機打ち上げが続く。これらも初期トラブルを起こさないという保証はない。
過去の新ロケット開発と運用の実績を見ると、新規開発のロケットは最初の10機のうち1機程度は打ち上げに失敗している。これから初号機打ち上げを迎える次世代ロケットにも同様のリスクがあると考えておく必要がある。
つまり2023年から数年は、ロケット打ち上げ失敗が相次ぐ可能性がある。これは新ロケット開発に伴う不可避のリスクだ。避けられないリスクである以上、リスクを最小に留めるように努めて打ち上げを実施し、ひとたび事故が起きてしまった時には、素早く対策を打ち出して実行し、中断期間最短で打ち上げ再開に持ち込む必要がある。
打ち上げ失敗は、ロケット打ち上げビジネスにとってできることなら避けたい事態ではある。しかし、敗北ではなく、立ち止まるべきではない。むしろ、原因究明と対策を通じて、ロケットの信頼性を上げていく契機として前向きに捉えるべきだ。