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(写真:飯山翔三)
(写真:飯山翔三)

 人工知能(AI)をはじめとするソフトウエア領域の強化を急ぐ安川電機。提携する企業や大学の見極めが重要になる。その目利きについて、同社の実質的な最高技術責任者(CTO)である取締役常務執行役員技術開発本部長の熊谷彰氏に聞いた。(聞き手は、高野 敦)

顧客やサプライヤーのトップと積極的に会うのは、やはりスピードを重視しているのでしょうか。

 スピードも大事ですが、とにかく無駄が嫌なんです。部下を行かせて私が聞きたいことを聞けていなかったら、もう1回聞いてきてもらわないといけないし、部下もかわいそうなので。それなら、ここぞというときは自分も一緒に行った方がいい。部下には「自分が聞きたいことはその場で全部聞くから、それをちゃんと覚えておいて」と伝えます。そうすると、みんなやるべきことを共有できているから、社内で会議をやる必要がありません。

熊谷氏発言の概要(出所:日経クロステック)
熊谷氏発言の概要(出所:日経クロステック)
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 あと、私が相手に言ったことを部下に聞かせたいという狙いもあります。早い段階でトップ同士の合意が取れていれば、後で「ここどうなっているんだっけ」となったときに、「あのとき熊谷さんが向こうのトップとこう決めたな」と迷わずに済みます。

 仕事はなるべく効率的に進めたいし、失敗したくないんですね。受注して1年後に造ったものを持っていって「こんなんじゃなかった」と言われるのは避けたい。自分自身の経験を振り返っても、「あのときこうなっていたら、こんな仕事しないで済んだな」というのがたくさんあります。だから、私は自分自身で出向きますし、管理職にも「自分で行ったのか」と聞くようにしています。

最初の一手間を惜しむと後から苦労してしまうのですね。

 効率もそうですし、評論家になりたくないという思いもあります。顧客やサプライヤーの話を直接聞くと、現場がなぜやりたがっているのかというのがよく分かります。それがなくなると、評論家になってしまい自分が邪魔な存在になってしまうのではないかという危機意識があるのです。

 私自身はずっと開発の仕事をしてきましたが、やはり上司が相手のトップと議論を尽くした案件というのは後が楽なんですね。逆に、何となく進んだ案件はどこかで痛い目に遭います。だから、CTOとしてどうやったら現場の仕事がスムーズに進むかというのは常に考えています。