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福島氏は半導体やEVなど成長分野への投資強化の方針を語った(写真:加藤 康)
福島氏は半導体やEVなど成長分野への投資強化の方針を語った(写真:加藤 康)
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 化学大手の昭和電工と昭和電工マテリアルズ(旧日立化成)が統合し、2023年1月1日にレゾナック・ホールディングス(レゾナックHD)として新たなスタートを切った。成長領域である半導体や電気自動車(EV)向け材料の開発で企業間連携を促進するほか、デジタル人材の育成を急ぎ、競争力強化の布石を打つ。最高技術責任者(CTO)の福島正人氏に、成長に向けた戦略を聞いた。(聞き手は佐藤雅哉=日経クロステック)

2030年に向けて半導体関連事業への投資を強化する計画です。

 これからは成長事業に集中的に投資し、収益重視のポートフォリオを構築する。半導体・電子材料事業は、全社売上高に占める比率を2030年に45%まで拡大する計画だ(2021年は31%)。そのため半導体関連事業には大半の投資を配分している。次世代パワー半導体や次世代高速通信向け半導体材料も含めて、中長期的な視点で投資したい。

2030年に半導体事業の売上高を全体の約45%に高める計画だ(出所:レゾナックHD)
2030年に半導体事業の売上高を全体の約45%に高める計画だ(出所:レゾナックHD)
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 今後、半導体の需要はますます増える。回路の集積度を高める「微細化」が注目されているが、我々はそれ以上に後工程プロセスでチップ同士を効率的に接続する「3次元パッケージ」に注目している。これは半導体の高性能化につながる技術であり、高度な技術が求められるので関連メーカーとの共同開発が欠かせない。そのためレゾナックHDは半導体材料メーカーなど12社と先端半導体パッケージを開発する共創コンソーシアム活動を積極的に進めている。

半導体後工程向け材料の世界シェアトップを誇る(出所:レゾナックHD、2021年実績)
半導体後工程向け材料の世界シェアトップを誇る(出所:レゾナックHD、2021年実績)
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昭和電工と昭和電工マテリアルズの統合は順調ですか。

 両社のエンジニア同士で理解が深まり、前よりシナジーが生まれている。しかし、「共創型技術開発」を実現するにはもう少し時間が必要だ。私も営業を担当していたので強く感じるが、顧客の狙いやニーズに沿った技術開発を実現するには技術部門だけではなく営業やマーケティングなど他部門とも情報を共有し、早く正確な開発につなげる必要がある。これまでの画一的な組織から脱却することで、新たな気づきやシナジーが生まれるだろう。「もっとこんなことができるのでは」という議論が活発になることを期待している。

 材料開発を担当する川上のエンジニアはアプリケーションの情報に飢えているので、市場や顧客に近い川下の部門と意見を交わすことで開発の方向性が明確になり、生き生きと活動できるようになった事例もある。代表取締役社長最高経営責任者(CEO)の高橋(秀仁氏)が率先して風通しを良くすることで、シナジーを生む共創環境ができつつある。