IHIは、研究開発の促進に向けて、人事制度などの改善を押し進める。社員の挑戦に対する評価や、リスキリングによる博士人材の育成などを通して、将来の競争力を育む。常務執行役員技術開発本部長グループ技術全般担当の久保田伸彦氏に、研究開発を活発化するための工夫について聞いた。(聞き手は佐藤雅哉=日経クロステック)
将来に向けた研究開発の施策を教えてください。
当社の技術開発本部では、成長分野へ研究開発費を集中的に投資している。投資額の約半分はトップダウンで戦略的に決めた研究開発に使っているが、約20%は開発者が自由な研究に使えるようにしている。この20%は新しいことに挑戦するためのものであり、たとえ研究者が失敗しても責めたりせず、どんどんチャレンジできるようにしている。
ただ、研究者のなかには失敗を恐れて、なかなか新しいことに挑戦したがらない人もいる。そこでチャレンジを推奨する目的で、技術開発本部のメンバー全員を対象に今期から人事の評価に「チャレンジ項目」を設けた。さらに、技術開発本部内で「チャレンジ賞」を設けて、チャレンジングな技術開発をしたメンバーを表彰するようにした。失敗しても「よくやった」と挑戦をたたえるようにしている。