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 2022年4月下旬、英国中部の都市Coventry(コベントリー)の中心部に世界初となる空飛ぶクルマ、つまりeVTOL(電動垂直離着陸)機用の離着陸場(バーティーポート、以下Vポート)がオープンした(図1)。

図1 世界初のVポートを設置
図1 世界初のVポートを設置
アーバン・エア・ポートが英Coventry市の中心部に仮設したVポート。機体を屋上へと昇降させる可動式プラットフォームを備える(写真:Urban-Air Port)
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 eVTOL機向けのインフラを手掛ける英Urban-Air Port(アーバン・エア・ポート、UAP)が設置した施設「Air-One」である。広さは1700m2で、建物の屋上部分に直径17mの離着陸スペースを設けた。可動式プラットフォームで機体を屋上へと移動させる。室内には乗客の待合室やカフェも完備された。Air-Oneは、Vポートに必要な要件を見極めるためのプロトタイプで、1カ月後に撤去されたという。

 2024~2025年の開始をターゲットにeVTOL機の社会実装に向けた取り組みが世界的に進められるなか、最近になって設置に向けた動きが激しくなってきたのがVポートである。これまでeVTOL機業界では機体開発が話題の中心だったが、eVTOL機を活用した空モビリティーのビジネスは、機体だけがあっても成立しない。特に、VポートはeVTO機Lの路線や運航頻度、乗客の利便性などを決定づける重要な要素である。

 Vポートは緊急用のヘリポートのように、単に機体が降りられればいいという施設ではない。空モビリティーのビジネス運用を前提にした機能が必要になる。通常の空港のように規模の大小はもちろん出てくるが、離着陸スペース、駐機スペース、誘導路、バッテリーの充電および交換設備、乗客ターミナルなどが不可欠になる。「人が対象のサービスになるので飲食などアメニティーも重要になる」とVポートに向けたシステムを開発するブルーイノベーション(東京・文京)社長の熊田貴之氏は言う。

 同社はこれまでドローン用ポートの開発を手掛けており、そのなかの1つとしてポート情報管理システム「VertiPort Information System(VIS)」を開発した(図2)。これをVポートにも応用する考えだ。VISは、Vポート周辺の風況などを機体に伝えたり、他の飛行体の侵入を検知したりする機能を持つ。

図2 ポート情報管理システムの画面
図2 ポート情報管理システムの画面
ブルーイノベーションが開発した「VertiPort Information System(VIS)」。これをアーバン・エア・ポートが開発するVポートに連結させて事業展開をしていくという。同社はVISを国際標準化機構(ISO)に提案している(出所:ブルーイノベーション)
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