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 空飛ぶクルマ、つまり電動垂直離着陸(eVTOL)機を開発するスタートアップのSkyDrive(愛知県豊田市)は2022年9月26日、設計・開発を進めている商用機「SkyDrive式SD-05型(以下、SD-05)」のデザインや仕様を記者発表会で公開した(図1)。

図1 商用のeVTOL機「SD-05」のデザインを発表
図1 商用のeVTOL機「SD-05」のデザインを発表
「SD-05」のデザインを記者発表会で披露する、SkyDrive代表取締役CEO(最高経営責任者)の福澤知浩氏(写真:日経クロステック)
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 同社は2025年4月に開幕する「2025年日本国際博覧会」(大阪・関西万博)において、国内初となる大阪ベイエリアでのエアタクシーサービスの開始を目指している。これまでは1人乗りの試作機「SD-03」を開発し、2020年8月に有人飛行試験を実施したりしていた。一方、SD-05は商用運航に向けた機体で、2人乗り、つまりパイロット1人のほかに乗客1人が搭乗できる。

 機体のタイプはSD-03と同様、マルチコプター型である。2021年に開発に着手し、現在、基本設計をほぼ完了した段階にあるという。並行して、2025年初頭までの国土交通省の型式証明の取得を目指しており、2022年3月に同省と審査適応基準の方針について合意している。型式証明の取得後は、世界展開も計画しているという。

 同社代表取締役CEO(最高経営責任者)の福澤知浩氏は「現在、世界で約400社がeVTOL機を開発しているが、そのうち実際に商用機を開発できるのは10社程度といわれている。その条件は、100億円以上の資金を調達している、有人飛行デモを実施している、型式証明取得のプロセスを進めている、ことである。当社はそのうちの1社だ」と話した。

 SkyDriveは同日、三菱UFJ銀行、東京海上ホールディングス、関西電力、スズキ、日本化薬、日本発条など13社を引受先とした第三者割当増資および銀行融資によって、シリーズCラウンドにおいて総額96億円の資金を調達したと発表した。同社の累計調達額は147億円となっている。

 記者発表会では、大阪府知事の吉村洋文氏や大阪市長の松井一郎氏も登壇した。吉村氏は「課題は多いが、2025年の万博では、大阪の空に空飛ぶクルマを必ず飛ばしたい」と話した(図2)。

図2 「万博では必ず飛ばしたい」と語った吉村知事
図2 「万博では必ず飛ばしたい」と語った吉村知事
記者発表には、出資企業の関係者だけでなく大阪府知事の吉村洋文氏も駆けつけた(写真:日経クロステック)
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