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 空飛ぶクルマ、つまり電動垂直離着陸(eVTOL)機を開発するスタートアップのSkyDrive(愛知県豊田市)は2022年9月26日、設計・開発を進めている商用機「SkyDrive式SD-05型」(以下、SD-05)のデザインや仕様を公開した。2025年4月に開幕する「2025年日本国際博覧会」(略称:大阪・関西万博)では、この機体を使い、国内初となる大阪ベイエリアでのエアタクシーサービスの開始を目指している。同社取締役CTO(最高技術責任者)の岸信夫氏に、SD-05の開発や今後の計画などについて聞いた。(聞き手:内田 泰=日経クロステック/日経エレクトロニクス)

SkyDriveが公開した商用機「SD-05」のデザイン
SkyDriveが公開した商用機「SD-05」のデザイン
機体寸法は全長9.4m×全幅9.4m×全高2.7m。最大離陸重量は1100kg。最高巡航速度は100km/h。ローター(プロペラ)は12基を搭載(写真:日経クロステック)
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「SD-05」の機体開発で最も重視したことは何でしょうか。

 まずは10kmという航続距離を確実に達成することです。そのうえで型式証明を取得できるように、安全性を確保できる設計にしました。こうしたことから、機体の形態が決まっています。

航続距離の10kmという数字は、設計余裕度をかなり見た値なのでしょうか。

 もちろん、十分な設計余裕度を見ています。例えば10km飛行して着陸しようとしたときに、何らかの理由で着陸ができず元のVポート(離着陸場)に引き返したり、別のVポートに降りたりしなくてはならないときがあるかもしれません。また、そのときに強い向かい風が吹いていたり、もしかしたら12基あるローターのうち、2基が停止してしまうかもしれません。

 そうしたさまざまなケースを検討したうえで、現状、調達できるであろう装備品や安全性を加味した結果、10kmという航続距離に落ち着きました。

同じマルチコプタータイプのeVTOL機には、ドイツVolocopter(ボロコプター)の「VoloCity」がありますが、こちらと比較してSD-05の特徴は何でしょうか。

 小型で機体の価格が安いことです(編集部注:目標の販売価格は1億円程度)。またVoloCityのローターは18基で、SD-05は12基なので整備コストも安くなります。騒音レベルはあまり変わらないと思いますが、ローターの数が少ない分、騒音源は少ないと言えます。あと、個人的にはかっこいいデザインにこだわりました。

SkyDrive 取締役CTOの岸信夫氏
SkyDrive 取締役CTOの岸信夫氏
三菱航空機にて戦闘機、旅客機などの開発に37年間従事。この間、先進技術実証機プロジェクトマネージャ、MRJ(SpaceJet)のチーフエンジニア、技術担当副社長を歴任した(写真:日経クロステック)
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SD-05には、1人乗りの試作機「SD-03」にはなかった水平と垂直の尾翼が装着されています。

 まだ最終決定ではありませんが、水平と垂直の尾翼は機体の直進性や安定性に寄与します。主に空気力学のメンバーから提案があって、スケールモデルで検証した結果、効果がありそうとのことで付けることになりました。

 実は、主翼を付ける議論もありましたが、主翼を付けるとそれだけで機体が大きく重くなってしまいます。我々は都市部での短距離の移動をメインに考えているので、その観点からは主翼を装着するメリットはないと判断しました。