新型コロナウイルス感染症対策のための医療用成形品を自動で量産する──。ドイツZahoransky(ザホランスキー)が世界最大の樹脂・ゴムの展示会「K 2022」(ドイツ・デュッセルドルフ、2022年10月19~26日)に出展したのは、全自動の医療品成形システムだ。新型コロナウイルス向けワクチン用シリンジ(注射筒)を、人手を介さずに生産する(図1)。同社のブースではその実演を行った。
まず、金型に針をセットした後、シクロオレフィンコポリマー(COC)を射出してインサート成形を行う。COCは透明度が高く吸水性が低い上に、反りや変形が小さく寸法安定性が高いという特長を備える。こうしてできたシリンジをロボットで検査ステーションに搬送し、針がシリンジの中心に垂直に立っているか否かなどを確認する(図2)。
ここで不良品ははじき、良品となったシリンジのみをロボットがピックアップし、トレーに詰めていく(図3)。成形機とロボット、そして周辺機器だけで稼働するため、衛生的な環境での生産を維持できる。
ワクチンを入れるCOC製バイアル(容器)の自動生産システムも同社は展示・実演した(図4)。バイアルはストレッチブロー成形で造る。まず、射出ステーションでプリフォームを射出成形し、続いてストレッチブローステーションに移送する。このステーションでプリフォームをロッドで引き延ばしつつ、空気を入れて膨らませることで容器の形状に成形。その後、ロボットでトレーに詰めていく仕組みだ(図5)。