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 PoC(概念実証)で実証しないと有用性が分からないようなコンセプトなど、ほとんどないのではないか――。日本を代表する企業のデジタル変革リーダーが集う「ITイノベーターズ会議」(2022年6月14日開催、日経クロステック主催)で、エグゼクティブメンバー(幹事会員)らがこれまで取り組んできたPoCを改めて検証した。その結果、コンセプトではなくテクノロジーの実証に終始しがちな実態が浮かび上がった。さらに、レガシーシステムの近代化の必要性を訴える意見が相次いだ。

「ITイノベーターズ会議」のディスカッションの様子
「ITイノベーターズ会議」のディスカッションの様子
(撮影:井上裕康)
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 「PoCはいろいろとやってきた。周辺ビジネスのPoCはうまくいっており、少しずつスケールしているものもある」。こう切り出したのは、ダイキン工業でDX戦略推進準備室担当部長を務める廣瀬忠史氏である。同氏は「ただし」と言葉をつなぎ、コンセプトの実証「PoC」ではなく、単なるテクノロジーの実証「PoT(プルーフ・オブ・テクノロジー)」に陥りがちなケースが少なからず存在することも明かした。「コンセプトがあいまいなまま、とりあえず何かをつくってみたり、テクノロジーを使ってみたりする。既存のビジネスや商流から少し離れると、そうした例が見られる」(廣瀬氏)。

 「PoCではなく、PoTになっていた」との発言は、ディスカッションに参加したほかのエグゼクティブメンバーからも聞かれた。その一人、日本郵船の塚本泰司DX推進グループ長は「PoCとPoTを混同するケースがあったかもしれない」と打ち明け、同社の取り組みを振り返った。

 例えば、ベンダーなどから提案を受けた製品やサービスが使えるかどうかを実証するのは「PoCではなくて、PoTになるだろう」(塚本氏)。AI(人工知能)やOCR(光学的文字認識)が業務で使いものになるか確認することも、「コンセプトではなくテクノロジーの実証そのものだ」と塚本氏は話し、次のように続けた。「(AIやOCRを活用すれば)業務を効率化できることは分かっている。コンセプトとしては(実証するまでもなく)当然正しい」。

ITイノベーターズ会議(2022年6月開催)で議論した「PoCで終わらせないDX戦略」のポイント
ITイノベーターズ会議(2022年6月開催)で議論した「PoCで終わらせないDX戦略」のポイント
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