コロナ禍で広がった在宅勤務、技術革新に伴うベンチャー企業の台頭、ジェンダー平等──。社会の変化が、働き方の変革やライフスタイルの多様化を後押ししている。こうした変化を受け、これまでのワーカーとは一味違う働き方を実現している30歳以下の若手エンジニアたちに、日経クロステックの若手記者が迫る。異彩を放つワークスタイルからは、仕事への新しいアプローチやキャリア形成のヒントが見えてくる。

一味違う働き方、若手エンジニアの実像
目次
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大林組でDXによる時短を推進、西日本の建設現場を回る
大林組 建築本部本部長室生産企画部次世代技術推進課 川村泰生氏
建設現場の労働環境は、デジタル技術でまだまだ改善できる──。大林組の川村泰生氏は、自らの仕事の意義を熱く語る。建設現場では紙の資料を用いた非効率な仕事が根強く残っている。建設機械や資機材の運用管理、書類や図面の作製など改善の余地は大きい。
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「折り工学」で月面建築を目指す若きCEO、夢追う“引力”が人を呼ぶ
OUTSENSE 代表取締役CEO 高橋鷹山氏
「会社はノリと勢いで立ち上げた」。爽やかに笑いながら話すのは、「折り工学」を活用した月面住居の建設を目指すベンチャーOUTSENSEの代表取締役CEOである高橋鷹山氏(28歳)だ。同氏が立ち上げた宇宙建築学サークルの仲間と共に、2018年8月にOUTSENSEを設立した。
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「MIと泥臭い研究は両方必要」AGC内製データサイエンティストが描く理想郷
AGC 化学品カンパニー基盤技術開発部企画室開発DXグループ 門屋勇輝氏
人工知能(AI)やシミュレーションを使った材料開発手法「マテリアルズ・インフォマティクス(MI)」の導入を進めるAGCはMI人材の内製化を進めている。門屋勇輝氏はこの取り組みで頭角を現した若手社員の1人。化学畑出身でデータサイエンスも習得した門屋氏は、同社の材料開発に変革をもたらそうとしている。
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「睡眠以外の時間は研究」、イーサリアム考案者も認めたプライバシー保護技術の旗手
LayerX 執行役員兼PrivacyTech事業部長 中村龍矢氏
企業の経理業務のデジタル化支援などを手掛けるスタートアップのLayerXで、執行役員兼PrivacyTech事業部長を務める中村龍矢氏(25歳)。個人情報を保護する技術「プライバシーテック」の研究チームを率いている。技術を通じた社会の課題解決に向け日々奔走する。
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社会人3年目で解説書を執筆、成長の秘訣はコンテナ研究者とメンテナーの「二刀流」
NTT ソフトウェアイノベーションセンタシステムソフトウェアプロジェクト 徳永航平氏
『イラストでわかるDockerとKubernetes』。入社3年目でこの本を執筆した徳永航平氏(28歳)は、コンテナを高速に起動する技術を研究する傍ら、コンテナ関連のOSSコミュニティーに参加。ソフトの保守や改善を担うメンテナーとして活動する「二刀流」の日々を送る。
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寮で培った竹中工務店の同期の絆、「気軽に聞いて素早く解決」
竹中工務店 東京本店設計部構造部門 前原航氏
竹中工務店の新入社員は1年間、寮生活をして研修を受ける。東京本店の設計部構造部門に勤める前原航氏(30歳)はそこで、人に頼る大切さを学んだ。全国に散らばった同期のネットワークは今も仕事に生きている。
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トヨタ出資のスタートアップ社長、目指すは「技術とビジネス現場をつなぐ架け橋」
オプティマインド 社長 松下健氏
多数の組み合わせの中から最適解を探す「組み合わせ最適化アルゴリズム」と呼ばれる計算手法を応用し、物流関連の企業に配送ルートの改善を提案するスタートアップ「オプティマインド」。代表の松下健氏には「技術とビジネスの現場をつなぐ架け橋になりたい」という思いがある。
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建築士取得と海外研修の両立も初めは「肩身狭かった」
日本工営 交通運輸事業本部港湾空港事業部航空部 石川杏奈氏
「空港に行くとテンションが上がる」――。取材に明るく対応する日本工営の石川杏奈氏(29歳)は、建築職として採用されて6年目。入社3年目には1級建築士受験と海外研修を同時にこなしたバイタリティーの持ち主だ。海外の空港プロジェクトでの活躍を目指し、研さんを積み重ねている。
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「人類を前進させる」短距離移動インフラ企業を仲間と創業した東大卒CTOの大志
Luup CTO(最高技術責任者) 岡田直道氏
「人類を前進させる」――。電動キックボードなどのシェアリング事業を手掛けるスタートアップ、LuupのCTO(最高技術責任者)、岡田直道氏はこうした大志を抱いて、大学時代の仲間とともに同社を創業した。当時、岡田氏は東京大学大学院に在学中だった。
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「利用者に意識させない」日立のストレージ技術者、SE経験で培った顧客第一主義
日立製作所 基盤ソフトウェア開発本部ストレージシステム第1設計部 野月麻衣氏
日立製作所で法人向けストレージの組み込みソフトウエアの設計・開発に携わる野月麻衣氏は「利用者に意識させないことが重要」だと語る。原点となったのは、入社1~2年目のシステムエンジニア(SE)実習で顧客の本当の思いをくみ取れていなかった苦い思い出だ。
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AWSの全資格を取得した基盤エンジニア、「突き詰める力」で道を切り開く
アクセンチュア テクノロジーコンサルティング本部インテリジェントソフトウェアエンジニアリングサービスグループマネジャー 高橋悠輔氏
アクセンチュアの高橋悠輔氏はITシステム基盤の構築や運用を担うインフラエンジニア。4年目の2021年には数人のメンバーを率いる管理職となった。「プロジェクトで任された技術を突き詰めて理解する」という高橋氏のモットーが、活躍の道を開いた。
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建築コンサルとトランスジェンダーの発信者で2つの顔、「私がやるしかない」
日建設計 NADコンサルタント 畑島楓氏
畑島楓氏は日建設計のNADでコンサルタントとして働く傍ら、休日はトランスジェンダーの当事者としてLGBTQへの理解を促す活動に取り組んでいる。立ち止まらずに活動を続ける畑島氏。原動力になっているのは、「私がやるしかない」という思いだ。
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SUBARU知財部「技術者になれなかった」若手社員、挫折を糧につかんだ新たな夢
SUBARU 知的財産部 金田尭之氏
幼い頃から飛行機が大好きだった。飛行機の開発や設計をする技術者になりたいと子どもの頃から憧れ、航空宇宙事業を営んでいるSUBARU(スバル)に入社した。ところが希望した配属先は知的財産部。技術者になるという夢を諦めたのは、大学院時代の挫折経験からだった。金田尭之氏は挫折をどう乗り越えたのか。
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派手なファッションを力に変える、堅い下水道の仕事を自由に
日水コン 下水道事業部東部計画管路部 吉久華野香氏
カラフルな髪に服、装飾品という派手なファッションを楽しみながら、下水道のコンサルタントとして公共性の高い業務に励む──。お堅いとみられる業界の中で自由な働き方を実現しているのは、日水コン下水道事業部東部計画管路部に勤める25歳の吉久華野香氏だ。