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 「空港に行くとテンションが上がる」――。取材に明るく対応する日本工営の石川杏奈氏(29歳)は、建築職として採用されて6年目。入社3年目には1級建築士受験と海外研修を同時にこなしたバイタリティーの持ち主だ。海外の空港プロジェクトでの活躍を目指し、研さんを積み重ねている。

石川 杏奈(いしかわ あんな)氏。1993年生まれ。横浜国立大学大学院を修了後、2017年に日本工営入社。交通運輸事業本部港湾空港事業部航空部で主に海外プロジェクトに携わる(写真:吉成 大輔)
石川 杏奈(いしかわ あんな)氏。1993年生まれ。横浜国立大学大学院を修了後、2017年に日本工営入社。交通運輸事業本部港湾空港事業部航空部で主に海外プロジェクトに携わる(写真:吉成 大輔)
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 現在はバングラデシュで進行する2つのプロジェクトに参加し、定期的に現地へ赴く。首都ダッカの国際空港におけるターミナルビル拡張工事の施工監理と、コックスバザール県での空港新設の設計とを担う。「空港は国籍や立場にかかわらず様々な人が使う施設だ。造る段階でも様々な人が参加する。仕事として携わること自体に価値を感じる」と、石川氏は声を弾ませる。

バングラデシュの施工監理現場に立つ石川氏。国内外の計4社が監理に参加する国際空港プロジェクトで、新設のターミナルビルを担当する(写真:日本工営)
バングラデシュの施工監理現場に立つ石川氏。国内外の計4社が監理に参加する国際空港プロジェクトで、新設のターミナルビルを担当する(写真:日本工営)
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 日本人の母、スペイン人とフィリピン人のハーフである父とを両親に持つ石川氏は、幼少期をタイのバンコクやシンガポールで過ごした。様々な国籍の人と関わることが自然な環境だった幼少期の経験が、海外プロジェクトに携わりたいという気持ちの原点だ。

 大学で建築、都市計画を学んだ石川氏は、在学中にアルバイトで建設コンサルタント会社に出入りした。そこで公共事業の多様さに面白さを感じ、視野が広がったという。海外での公共事業を数多く抱える会社を志望し、日本工営に入社した。

 入社から2年がたち、1級建築士の資格取得に向けて準備していたときに、日本工営の子会社である建築設計会社のビルディング・デザイン・パートナーシップ(BUILDING DESIGN PARTNERSHIP、英国・マンチェスター)でのBIM/CIM研修への参加を上司から持ちかけられた。建築士試験の勉強も大切だったが、アイルランドのダブリン空港の建設プロジェクトにも関われるこのチャンスを逃したくない。石川氏は英国での研修受講を決意。2019年の春に渡英し、約6カ月間の研修を受けた。

 渡英したからといって、その年の建築士試験の受験をあきらめたわけではない。研修の傍ら試験勉強も続けた。建築士試験は学科と設計製図で構成され、前者に合格すれば後者を受験できる仕組みだ。研修スケジュールを考慮し、設計製図は翌年に受験すると割り切り、学科に集中した。

 19年7月には学科試験のためだけに一度帰国した。再び渡英するというハードスケジュールになったものの、無事に合格。海外研修と両立させた。翌年には設計製図試験もパスし、1級建築士の資格を得た。

 このエピソードだけ見ると、石川氏は順風満帆に成長し、簡単に目標を達成したように見える。だが、決してそうではない。