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 「人類を前進させる」――。

 電動キックボードなどのシェアリング事業を手掛けるスタートアップ、Luupの最高技術責任者(CTO)、岡田直道氏はこうした大きな志を抱いて、大学時代の仲間とともに同社を創業した。当時、岡田氏は東京大学大学院に在学中だった。

 Luupは現在、電動キックボードと小型電動アシスト自転車のシェアリング事業を展開する。機体の検証やシェアリングサービスの実証を繰り返しながら、新しい短距離移動インフラの確立を目指す。「電動・小型・一人乗りのマイクロモビリティーを包括的に取り扱う。将来的には高齢者向けの4輪マイクロモビリティーなども導入予定だ」と岡田氏は語る。

岡田 直道(おかだ なおみち)氏。1995年2月生まれ。東京大学工学部卒業後、同大学院在学中から複数のスタートアップでWeb開発に従事し、2018年にLuupを共同創業。創業以来、CTO(最高技術責任者)を務める(写真:加藤康)
岡田 直道(おかだ なおみち)氏。1995年2月生まれ。東京大学工学部卒業後、同大学院在学中から複数のスタートアップでWeb開発に従事し、2018年にLuupを共同創業。創業以来、CTO(最高技術責任者)を務める(写真:加藤康)
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大学のサークルの仲間と起業

 社長兼CEO(最高経営責任者)を務める岡井大輝氏やCPO(最高製品責任者)の牧田涼太郎氏とは、もともと大学時代に同じサークルに所属していた。大学では研究やサークル活動に打ち込み、「将来のことはあまり考えていなかった」(岡田氏)という。起業を意識し出したのはサークルを引退した大学3年のころだった。

 「将来何をしたいかについてサークルの仲間と語り合うなかで、自然といつか一緒にスタートアップを立ち上げようという話になった」。起業を選んだのは「一番早く世の中を変えられる」(岡田氏)と考えたからだ。

 当初は大学卒業後それぞれの道に進み、30代で再集結してスタートアップを立ち上げる計画だった。だが「やりたいことを実現するためのメンバーがいて、スキルもあるのだから、30代まで待つ必要がない」(岡田氏)と考え、岡井氏や牧田氏と20代でLuupを創業した。

現在、電動キックボードと小型電動アシスト自転車の2種類のシェアリング事業を展開している。今後は電動4輪モビリティーも登場予定だ(写真提供:Luup)
現在、電動キックボードと小型電動アシスト自転車の2種類のシェアリング事業を展開している。今後は電動4輪モビリティーも登場予定だ(写真提供:Luup)
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 創業当時は、家庭での介護活動に支援を必要とする人たちと、介護を手伝いたい元介護士や主婦たちをスポットで結びつけるCtoC(個人間取引)プラットフォーム事業に取り組んだ。だが、ここで壁に突き当たった。

 介護支援者の移動にコストと時間がかかるため「どうしても単価の高いサービスになってしまう」(岡田氏)ことが判明し、断念せざるを得なかったのだ。背景には日本では短距離移動の選択肢が少ないという課題があった。

 岡田氏らは発想を転換した。壁となった短距離の交通インフラのほうに目を向けたのだ。「短距離間の移動がもっと便利になれば、そのインフラの上に新しいビジネスが生まれ、社会課題の解決にもつながる。世の中を大きく変えられる」と岡田氏は語る。これが電動マイクロモビリティーのシェアリングサービスを始めたきっかけだ。