全1075文字
PR

 「米国で景気後退が懸念されているものの、営業現場の声や受注残などの状況を踏まえると、スバル車への需要は高く、造れれば売れるとみている」。SUBARU(スバル)取締役専務執行役員CFO(最高財務責任者)の水間克之氏は2022年8月3日、2022年度第1四半期(2022年4~6月)の連結決算会見でこう述べた。

 「景気後退について我々が心配し、米国の営業現場に確認すると、販売モメンタムに変化はなく、『心配しなくていいから1台でも多くクルマをほしい』という声が返ってくる」(同氏)と言う。受注残が5万台前後あることからも、「2022年7月以降については自信を持っている」(水間氏)と話す。

 半導体の供給不足や原材料価格の高騰、為替の影響など、さまざまなリスク要因があるものの、「諸経費の削減や原価の低減」(同氏)で乗り切りたい考えだ。ただ、米国では原材料価格の高騰に伴い、一部で車両価格への転嫁を始めたという。「通常は新型車への切り替え時に価格改定をすることが多いが、今回は現行車の販売中にも特例的に改定している」(水間氏)。一方、日本国内などでは価格転嫁については慎重にみている。

 米国での需要が好調なことから、2022年度通期(2022年4月~2023年3月)の計画は、同年5月に発表した期初計画から変えなかった。生産台数は前年度比37%増の100万台、販売台数は同28%増の94万台、売上高は同27%増の3兆5000億円、営業利益は同2.2倍の2000億円を目指す。

営業利益2000億円を目指す
営業利益2000億円を目指す
(出所:スバル)
[画像のクリックで拡大表示]

 新型電気自動車(EV)「ソルテラ」など、リコール(改修・無償修理)が多発している点については「中期計画の中でも、品質改革は“一丁目一番地”で取り組んでいる」(同氏)と説明した。なお、ソルテラの販売再開時期については、トヨタ自動車との協議を進めているため、コメントは差し控えるとした。

「ソルテラ」の販売再開時期は未定
「ソルテラ」の販売再開時期は未定
(写真:日経Automotive)
[画像のクリックで拡大表示]