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設計課長A:製造部署から「現場のことも知らずに図面を描くな!」とひどく叱責されました。現場からの不満を耳にするのは今回が初めてではありません。今後、設計者としてどのように取り組めばよいかと悩んでいます。

講師:現場のことを知らないと指摘されて悩んでいるのはあなただけはありません。多くの設計課長に共通する課題です。実は、「現場のことも知らずに」という言葉は、製造現場からあなたへの助言なのです。悩むのでなく、貴重なアドバイスとして生かしてほしいと思います。

 ところでA課長、「図面は誰が描くのか」と聞かれたら何と答えますか。

設計課長A:図面は誰が描くのかと言われても……。私の職場は設計者が描いていますし、設計者以外には思いつきません。

講師:A課長、本当に描いているのは設計者だけですか。よく考えて下さい。仕事柄、私はこれまで1000人以上に「図面は誰が描くのか」と問い掛けてきました。皆、当たり前のことをなぜ聞くのかとけげんな表情になります。そして、返ってきた答えはほぼ「設計者」でした。

 この回答は「設計は設計者だけで完結する」「CADで図面を作成することが設計だ」という思いの表れでしょう。しかし、A課長にはこう答えてほしいのです。「図面は全社で描く」と。

設計課長A:「図面は全社で描く」。初めて聞きました。どのようなことなのか、ぜひ教えて下さい。

講師:私が初めて量産図面を担当した時のことです。私は日程会議に図面を持って臨みました。日程会議とは、設計や品質、生産技術、生産などの部署からの担当者が一堂に会し、図面を基に部品手配や生産工程準備についてスケジュールと役割を検討する場でした。

 私が図面の説明を始めると、生産現場で働くベテランの課長が突然、「こんな図面でものを造れると思っているのか!」とすごい剣幕(けんまく)で私を一喝しました。加工のし易さや組み付け工程への配慮ができていない図面だったのです。私は製図版に向かって線と数値を書き込めば図面だと思っていたというわけです。その課長は図面を一目見るだけで、そんな私の姿勢を見抜いたのです。

設計課長A:生産現場の課長はすごいですね。その後、どのように取り組んだのでしょうか。

講師:それからは足しげく現場に通いました。生産現場のリーダや班長の声をよく聞いて図面に反映しました。

設計課長A:「生産現場の声を聞く」とはどのようなことを指すのでしょうか。よく聞く言葉ではありますが、これまで漠然としか捉えていませんでした。具体的に教えて下さい。