生活者がどのように病気になり、治療を受けて日常生活に戻っていくのかといった過程を示す「ペイシェントジャーニー(Patient Journey)」という考え方が広がっている。患者ごとに最適な個別化医療を実現するためには、それぞれの「旅」に寄り添うことが必要だ。日常のデータを取得・解析するデジタル技術の進展によって、この考え方は単なる理想を描いた哲学ではなく、実際の医療・ヘルスケアのシーンでも取り入れられるようになりつつある。分断されていた患者体験がデータによって1つにつながることで、どんな未来が訪れるのか。「患者の旅」に寄り添おうとする企業の動きを追った。

特集
「患者の旅」にデータで寄り添う
目次
-
企業連携で「患者中心」を実現へ、医療スタートアップが見据える未来とは
医療業界のスタートアップはペイシェントジャーニーをどのように意識しているのだろうか。AI(人工知能)による症状検索や問診を手掛けるUbie、AI画像診断支援システムのLPIXEL、治療用アプリの先駆者CureAppの3社に、患者中心のペイシェントジャーニー実現に向けた課題やビジョンを語り合ってもら…
-
独創企業が「患者の旅」の案内人、要所ごとにデジタルで支援
「ペイシェントジャーニー」を通じた患者中心の医療を実現しようという機運が高まっている。長期間にわたるペイシェントジャーニーの全体を支援するのはまだ現実的ではないが、部分的な支援をデジタル技術で実現しようとする取り組みは始まった。そこではスタートアップなどの独創的な企業が存在感を増している。
-
緻密な健康データが導く「患者中心」の医療とは、医者任せを変革できるか
日常を含めて患者の生活の質を向上できる、新たな「ペイシェントジャーニー」を実現しようという機運が医療業界で高まっている。その中で重要性を増しているのが、患者中心という考え方だ。ペイシェントジャーニーは患者側の意識改革につながり、主体的な医療への参加を促す。
-
医療を変える新「患者の旅」、デジタル技術で日常生活を把握
ペイシェントジャーニーという考え方に近年注目が集まっている。概念自体は古くからあるものだが、技術の発展や医療に対する考え方の変化によって、ペイシェントジャーニーも新たな姿になりつつある。患者の状態が長期間にわたって可視化され、適切な医療をタイムリーに提供できる可能性がある。