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 夏休みスペシャルの季節がやってきた。「スペシャルもの」は、夏、冬、ゴールデンウイークと毎回寄稿しているが、いつもネタに悩む。「休暇中に気軽に読めるテーマ」というリクエストもあるので、それならばと、今回は米Apple(アップル)におけるメタバース戦略について筆者の妄想的観測を含めた大胆予測を披露してみたい。

ヘッドトラッキングに異様なほど力を入れるアップル

 アップルは将来、「VR/ARメガネ」を発売するとみられている。筆者の専門は音楽制作なので、VR/ARメガネと音との関係についてお話する。

 アップルが、Dolby Atmos(ドルビーアトモス)というフォーマットを取り入れた「Spatial Audio(空間オーディオ)」に力を入れているのは、ご存じの通りだ。筆者も日経クロステックの記事で過去に何度か取り上げている。

 実はアップルは空間オーディオにおいて、イヤホン/ヘッドホンでモニタリングする際のヘッドトラッキングに異様なまでに力を入れている。少なくとも筆者には「異様」に感じる。

ヘッドトラッキングを体感するには、AirPods (第3世代)、AirPods Pro、AirPods Max、Beats Fit ProといったH1チップ搭載のデバイスが必要だ
ヘッドトラッキングを体感するには、AirPods (第3世代)、AirPods Pro、AirPods Max、Beats Fit ProといったH1チップ搭載のデバイスが必要だ
(筆者撮影)
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 なぜ、そこまで力を入れるのか。ヘッドトラッキングは、VR/ARメガネのユーザー体験をアップルが満足できるレベルに引き上げるために欠かせない要素だからだ。