全2807文字
PR

 新たな商品やサービスを展開したい法人や個人がインターネット経由で資金を募り、ユーザーが支援金額に応じた対価として商品やサービスを後日受け取ることができる「購入型クラウドファンディング(CF)」。サイバーエージェント子会社のマクアケが2013年から運営する「Makuake」は、その代表格だ。

 社会貢献や地域おこしなど様々なコンセプトのCFがある中、マクアケはビジネス分野に照準を合わせて大手の電機メーカーや自動車メーカーなどと次々にコラボし、地方の中小企業の発掘にも注力。企業の大小を問わず全国から新機軸のプロジェクト(出品案件)が集まるマーケットプレイスとして打ち出し、新型コロナウイルス禍に伴う巣ごもり消費拡大を受けて急成長を遂げた。

購入型クラウドファンディングサイト「Makuake」には1000件規模のプロジェクトが常時掲載されている
購入型クラウドファンディングサイト「Makuake」には1000件規模のプロジェクトが常時掲載されている
(マクアケ公式サイトの画面を日経クロステックがキャプチャー)
[画像のクリックで拡大表示]

 そんな同社に今、息切れ感が目立っている。2022年7月26日発表の2022年9月期第3四半期(2021年10月~2022年6月)決算。売上高は前年同期比0.2%減の33億2600万円、営業損益は8900万円の赤字となった。

 重要経営指標である応援購入総額(購入代金の前払い額)も、2022年4~6月の四半期単位で52億4500万円と前年同期に比べて11.4%減少した。同社は応援購入総額が減少した理由について「コロナ禍の需要急拡大が落ち着きを戻している中で、事業急成長中に遅れていた内部体制の強化に最注力した」ためだと説明する。どんな背景があるのか。

事前・事後の調査でプロジェクト品質確保

 そもそも企業がMakuakeのような購入型CFを利用するのは、在庫のリスクを負わずに新商品を広く発信して潜在顧客を先行開拓できるからだ。販売基盤を持たないスタートアップ企業や大手企業の新事業、商品発売前のテストマーケティングなど活用範囲は幅広い。一方でプロジェクトの品質低下や、実行者(出品者)と応援購入者とのトラブルもつきまとう。例えば「電気用品安全法のPSE認証を取得していない」「期待していたものと全く別のものが届いた」といったトラブルだ。

 マクアケはかねて、こうした問題への対策を講じてきた。まず力を入れたのは、プロジェクトの準備段階で実施する「事前調査」だ。法務知識を持つ社員を集めた専門部署を中心に、記載している案件の内容が合法なものか、第三者の権利侵害はないかなどをチェックしている。

 さらに「2020年に品質保証本部を設立し、『事後調査』も強化してきた」と、マクアケの坂本めぐみ執行役員品質保証本部長兼人事本部長は説明する。例えばプロジェクトが計画通り進んでいるか、本当に納品されているかといったモニタリングを定期的に実施している。そのうえで、納期が遅れそうなら購入者にきちんと連絡するよう促し、きめ細かく進捗報告してもらう、といった具合だ。

 事前調査と事後調査の両輪でプロジェクトの品質向上やトラブル防止を図るマクアケ。もっとも、課題は今なお大きい。「(Makuakeが)市場にまだ流通していない商品やサービスを生み出す場ということもあり、新たなトラブルの発生をすべて予測して防ぐのは難しい」(坂本執行役員)のだ。実際、昨今もプロジェクト品質に不安を抱かせる新たな事態が生じている。

 「商品紹介ページでは新規開発とうたっているのに、AliExpress(アリエクスプレス)で同じ商品が売られていた」「元値の何倍もの価格で転売しているだけではないのか」――。Makuakeのプロジェクトを巡ってSNS(交流サイト)などで、こうした指摘が相次いでいる。アリエクスプレスは、中国Alibaba Group(アリババグループ)が運営する越境EC(電子商取引)サイトだ。