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アプリケーションの迅速な改善を可能にする「マイクロサービスアーキテクチャー」。国内でも金融機関や伝統企業が導入するなど、本格的な普及期に入りつつある。ただし既存システムへの適用では、アプリケーションを独立性の高いサービスに切り分けるといった難題が立ちはだかる。どうすればうまくいくのか。最新の事例から成功の秘訣を探る。

 「マイクロサービスアーキテクチャーとして設計したわけではない。ただし開発スピードや保守性を向上させるために、疎結合の考え方を取り入れた」。SOMPOシステムイノベーションズの木下義猛プログラム推進本部長は、損保ジャパンの新基幹システム「SOMPO-MIRAI」の開発コンセプトについてこう言及する。

 新システムに取り入れた疎結合の考え方の1つが、システムの独立性の担保である。JavaベースのWebアプリケーションやコンポーネントは圧縮形式でWARファイルにまとめてデプロイする。今回、このファイルを契約管理や事故受付といったサブシステムごとに分け、それぞれ独立してリリースできるようにした。

図 損保ジャパンの基幹システム「SOMPO-MIRAI」の工夫
図 損保ジャパンの基幹システム「SOMPO-MIRAI」の工夫
疎結合にして変更スピードを上げる
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 サブシステム単位のリリースを可能にするには、サブシステムと合わせてデータベースの独立性も高める必要があった。そこで「似たような既存データベースを対象に影響分析をして、変更の際に影響箇所を局所化できるようデータベースを分割したり再構築したりした」(SOMPOシステムイノベーションズの河村亮太基盤本部基盤刷新グループシニアエンジニア)。