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最近は新品でも安価に入手できるデバイスが増えてきた。こうしたデバイスに最新のLinuxを入れると、小型パソコンとして利用できるようになる。それぞれのデバイスの特徴に合わせた用途に使えるようLinux化する方法を紹介する。

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キーボード一体型モデルのPC「Raspberry Pi 400」に、「Chromium OS」をインストールして持ち運べるクラウド端末としてLinux化します。

 小型PCボード「Raspberry Pi」(以下、ラズパイ)は、本体に「GPIO」と呼ぶデジタル信号の入出力端子を備えているため、電子工作の用途で使われることの多いデバイスです。けれども、UbuntuやManjaro、LibreELEC、Volumio、RetroPiなど多くのLinuxディストリビューションがラズパイ向けのイメージファイルを提供しており、Linux PCとしても活用できます。

 ラズパイには、スペックの違いや形状の違いに応じていくつかのモデルに分かれています。Part2では、キーボード一体型モデルの「Raspberry Pi 400」(以下、Pi400)をLinux化します。

Linux化するデバイス
キーボード一体型のラズパイ「Raspberry Pi 400」

 Pi400のスペックは、CPUが「Cortex-A72」(動作周波数1.8GHz)を4コア、メモリーが4Gバイトで、処理性能はエントリークラスのPC並みです(表1)。処理負荷のかかるアプリケーションは動作が重くなりますが、WebブラウザーでWebサイトにアクセスしたり、動画配信サービスを視聴したりする用途なら問題ありません。

表1 「Raspberry Pi 400」のスペック
表1 「Raspberry Pi 400」のスペック
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 Micro HDMIポートを2個備え、デュアルディスプレイで60fpsの4K映像を同時に出力できます。Micro HDMI変換アダプターを使うことで家庭用テレビにも接続できます。USBポートは、Type-Cを1個、3.0を2個、2.0を1個備えます。このうちType-Cは電源供給専用です。ネットワークは有線と無線の両方に対応し、最大1Gビット/秒で通信できます。

 内蔵ストレージはなく、USBポートかmicroSDカードスロットで外部ストレージを利用します。USBメモリーまたはmicroSDカードにLinuxのイメージファイルを書き込み、本体に差し込んで電源を投入すると、何も設定しなくてもUSBメモリーまたはmicoroSDカードからLinuxが起動します。

 Pi400のスペックは、キーボードが一体になっていない点を除き、ラズパイの最上位モデル「Raspberry Pi 4 Model B」(以下、ラズパイ4)とほぼ同じです。このため、今回紹介するLinux化の手順はラズパイ4にも適用できます。ただし、2022年7月時点、半導体不足の影響でラズパイ4は入手困難な状況です。それに比べ、Pi400は入手しやくなっています。なお、ラズパイは主に電子部品ショップが取り扱っています*1

*1 秋月電子通商(https://akizukidenshi.com/)、ケイエスワイ(https://raspberry-pi.ksyic.com/)、スイッチサイエンス(https://www.switch-science.com/)、千石電商(https://www.sengoku.co.jp/index.php)などがあります。