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最近は新品でも安価に入手できるデバイスが増えてきた。こうしたデバイスに最新のLinuxを入れると、小型パソコンとして利用できるようになる。それぞれのデバイスの特徴に合わせた用途に使えるようLinux化する方法を紹介する。

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最後はシャープの電子辞書「Brain」をLinux化します。専用Linux「Brainux」を開発する著者が、手順と開発秘話を紹介します。

 最後のPart6で紹介するのは、本来Linuxのインストールを想定していないハードウエアであるシャープの電子辞書「Brain」です。Brain専用のLinuxディストリビューション「Brainux(ブレイナックス)」を使うと、電子辞書が一瞬でLinuxマシンに変身します。Part6では、まず機種選定のコツ、インストール方法、実際にBrainuxを起動する方法を紹介します。その次に、Brainをインターネットに接続してアプリをインストールする手順を紹介します。最後に番外編として、Brainuxの実現に至るまでのリバースエンジニアリングと開発の経緯について紹介します。

Linux化するデバイス
シャープの電子辞書「Brain」シリーズ

 2008年に発売されたシャープの電子辞書ブランド「Brain」は、ほとんどの機種で「Windows CE」が動く変わった電子辞書です。最大の特徴は、電子辞書なのにソフトの追加が可能なことです。「Windows CE」や「Windows Mobile」を搭載するハードウエアは、発売当時は珍しくありませんでした。けれども電子辞書であることが好奇心を呼び、インターネット上で話題となりました。

 コアはARM系のSoCを搭載しています(表1)。採用するSoCの違いに応じて、大きく三つの世代に分かれています。最初の第1世代が東芝のSoC、次の第2世代がオランダNXP Semiconductors社(吸収合併した米Freescale Semiconductor社)の「i.MX283」、最後の第3世代もNXP社ですがより新しい「i.MX 7ULP」を採用しています。

表1 「SHARP Brain PW-SH1」のスペック
表1 「SHARP Brain PW-SH1」のスペック
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 2022年7月時点では、第2世代のi.MX283への対応が最も整備されています。このため、今回は第2世代のモデルを使って、Linux化の方法を紹介します。SoCのほかにも、画面解像度やサブLCDの有無などが機種ごとに異なっています。詳細は後述します。