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 小倉クラッチが開発したロボットハンドは、つかむワークの硬さに合わせて把持力を調整でき、豆腐のように軟らかいワークでもつかめる。サイズの異なる部品をいちいち調整せずにピッキングできるのも特徴だ。ポイントは同社が独自に開発した磁石とホール素子を使った「DQH型トルクセンサー」だ。

DQH型トルクセンサーのデモ機 
DQH型トルクセンサーのデモ機 
ロボットハンドがつかんでいるのは豆腐。(写真:日経クロステック)
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トルクセンサー搭載ロボットハンドの概要
トルクセンサー搭載ロボットハンドの概要
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DQH型トルクセンサーを搭載したロボットハンド
DQH型トルクセンサーを搭載したロボットハンド
(写真:日経クロステック)
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DQH型トルクセンサー
DQH型トルクセンサー
小倉クラッチが独自に開発したトルクセンサー。磁石とホール素子を用いた荷重センシング機構を使って、トルクを測定する。(写真:日経クロステック)
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磁石とホール素子を用いてトルクを測定

 DQH型トルクセンサーがユニークなのは、磁石とホール素子を用いた荷重センシング機構を使ってトルクを測定する点にある。ホール素子とは、磁界を検出して電気信号として出力する磁気センサーだ。同社技術本部技術一部研究開発課課長の松本益幸氏は、「磁石とホール素子を使ったトルクセンサーは他社にはない」と胸を張る。

 まずは磁石とホール素子を用いた荷重センシングの原理から説明しよう。

磁石とホール素子を用いた荷重センシングの原理のイメージ
磁石とホール素子を用いた荷重センシングの原理のイメージ
(出所:小倉クラッチ)
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 上の図のように計量皿の下面に磁石を、台の上面にホール素子を設置したはかりを想定する。計量皿にものを載せると、荷重でばねがたわむ。そのたわみによって磁石がホール素子に接近する。磁石が接近して磁場が大きくなると、それに比例してホール素子の出力電圧が増加する。つまり、ホール素子の出力電圧を計測すると、磁石がホール素子に接近した距離、つまりばねのたわみ量が分かる。ばねのたわみ量を検知することで、荷重を測定できるわけだ。

 この荷重センシング機構を、トルクのセンシングに応用したのがDQH型トルクセンサーだ。

図 DQH型トルクセンサーの断面イメージ
図 DQH型トルクセンサーの断面イメージ
円盤の円周方向にトルクがかかると、円盤に設置した磁石がきょう体に設置したホール素子に近づき、ホール素子の出力電圧が大きくなる(左)。たわみ角度(円盤の円周方向の回転角)は、たわみ機構のコイルばねの弾性によってトルクに対して比例する。このたわみ角度をホール素子の出力電圧から算出し、トルクに換算する。(出所:小倉クラッチ)
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 これは先述した荷重センシング機構の仕組みを応用し、荷重ではなくトルクを測定するため、たわみ量を測るためのコイルばねを垂直方向ではなく水平方向に配置したもの。トルクがかかると、トルク入力側に設置したストッパーピンがコイルばねを押す。同時にトルク入力側の磁石が、固定側に設置されたホール素子に接近し、ホール素子の出力電圧が大きくなる。トルク入力側のたわみ角度は(トルク入力側の円周方向の回転角)トルクに比例するので、たわみ角度をホール素子の出力電圧から算出し、トルクに換算する仕組みだ。