ロボットによる作業の自動化は、製造業に限らず労働力不足が進む社会においてますます重要な意味を持つ。もっと賢くて素早く動き、人に近い働きができるロボットを目指し、さまざまな要素技術が登場している。技術開発を担うベンチャーなどの現場からレポートする。

ロボットの進化促す最先端技術
目次
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意外に難しい「ロボットの手」、機械が人を超える日は来るか
ロボットにとって古くて新しい課題の1つが「つかむ技術」である。ロボットは、形の変わらないワークを、決められた動作で扱うのが得意だ。しかし、それらが変化する場合は、ロボットにとって難易度の高いタスクになる。人が何気なく目の前にある任意の物体をつかみ取り、それを壊さずに運べるのとは対照的だ。
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第5回 軟らかい豆腐もくずれやすいポテチもつかむ、把持力センサー搭載のハンド
小倉クラッチが開発したロボットハンドは、つかむワークの硬さに合わせて把持力を調整でき、豆腐のように軟らかいワークでもつかめる。サイズの異なる部品もいちいち調整せずにピッキングできるのも特徴だ。ポイントは同社が独自に開発した磁石とホール素子を使った「DQH型トルクセンサー」だ。
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リアルなニセモノ画像の大量生成でAI構築、安川電機が外観検査に試験導入
安川電機の子会社のエイアイキューブ(東京・中央)は、工場の自動化(ファクトリーオートメーション、FA)を推進するため、これまで人の判断が必要だった工程を人工知能(AI)に置き換えるソリューション「Alliom(アリオム)」を提供している。
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生きた皮膚で覆われた指型ロボット、傷が付いても自己修復
東京大学大学院情報理工学系研究科教授の竹内昌治氏らは、生きた皮膚で覆われたロボットを世界で初めて開発した。手の指のように曲がるロボットに、独自の手法で人の皮膚細胞由来の培養皮膚をかぶせたものだ。小さな傷が付いても、人間のように自己修復する。
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内蔵カメラが触覚センサーに、ケーキもつかめる新発想ロボットハンド
カメラの映像だけを使って人間のような触覚を実現するロボットハンドが登場した。ロボットベンチャーのFingerVision(東京・杉並)が開発を進めている触覚センシング機能を持つハンドだ。同社が得意とする画像処理技術を使ったもので、多関節ロボットと組み合わせれば、軟らかい食品を潰すことなくつかめるシ…
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動作時の死角を補う第六感センサー、独自のハードとAIで透明物体も逃さない
近接覚センサーは、数cm以内にある至近距離の物体の形や向きを高精度で検出するセンサー。ロボットが物体をつかむ直前の瞬間に、物体の位置情報をリアルタイムで検知し続けるのが主な役割だ。対象物がガラスのような透明物でも、鏡面のある物体でも検出可能にした。