世界的なインフレの波、円安の進行。エネルギー資源問題に、長引く感染症対応。こうした困難な課題に企業が直面する中で、2023年に飛躍が見込まれるのはどんな業界なのか。今回は、『日経業界地図 2023年版』から、要注目分野の「業界地図」を紹介する。今回は、半導体・半導体製造装置をめぐる業界地図を見ていこう。
- 半導体の需給逼迫で投資活発化
- 一部の最終製品では需要減速
半導体は性能が約2年で2倍になる「ムーアの法則」どおりに技術革新を続けてきた。メーカーは巨額の研究開発費と設備投資を続け、いかに最先端の製品を世に出すかで競争を繰り広げている。
線幅を狭める「微細化」が中心だったが、縦方向も使った「3次元化」の開発も進展しつつある。近年は設計と製造の分業が進んでおり、韓国サムスン電子や米インテルのように自社で半導体を生産するメーカーに対し、台湾積体電路製造(TSMC)に代表される受託製造企業(ファウンドリー)も台頭している。
最近の動向
半導体市場は米中貿易摩擦などによって冷え込んだが、新型コロナウイルス禍を機に再び拡大に転じた。デジタル機器の引き合いが強まったうえ、データ量の増大でデータセンター向けの需要も伸びた。自動車市場の回復も需要を押し上げた。