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今回ラインアップが刷新されたのはiPhoneのナンバーシリーズのノーマル/Pro版、AirPods Pro、Apple Watchシリーズ3製品
今回ラインアップが刷新されたのはiPhoneのナンバーシリーズのノーマル/Pro版、AirPods Pro、Apple Watchシリーズ3製品
(出所:アップル、以下同じ)
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 米Apple(アップル)恒例のiPhone発表イベントが2022年9月7日(米国時間)に開催された。ナンバリングが行われるiPhone新製品が発表される恒例のイベントだが、今回は「AirPods Pro」「Apple Watchシリーズ3製品」が併せて発表された。今回はソフトウエアやサブスクリプションまわりのサービス発表がほとんど見られなかったが、いくつか気になった点があった。

現行販売モデルの価格一覧
現行販売モデルの価格一覧
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iPhone 14 Proの米国販売価格は変わらず

 20年来の円安水準が叫ばれて久しいが、当然iPhone 14/Proが発表されたときの最大の注目ポイントの1つが「日本での販売価格」だった。1年前の今ごろが1米ドル=約110円だったので、現状の水準では2021年比で日本での販売価格が約1.3倍になることは確実だからだ。

 「日本はユーザーが多いのだから、もう少し買いやすい価格で出せないのか」という意見もあるかと思うが、そこはグローバル企業の悲哀でApple製品は世界中で売られているため、為替を無視した値付けは、いわゆる「転売ヤー」の格好の餌食となってしまう。分かりやすい例でいえば、日本でもしiPhoneを他国より安価に販売した場合、中国や香港などを含む諸外国への転売で利益を得られることになる。

 そこで今回注目したいのは米国での販売価格だ。「iPhone 14 Plus」については新顔なので除外すると、iPhone 14の税別799米ドル、iPhone 14 Proの税別999米ドル、iPhone 14 Pro Maxの税別1099米ドルという数字になる。興味深いのは、iPhone 14 ProとPro Maxについては2021年のiPhone 13の発表時と変化ないが、iPhone 14については2021年のiPhone 13が699米ドルだったので、100米ドル上昇していることになる。一部の価格予想で上位モデルの値段が100米ドル以上上がるという話が出ていたものの、価格を堅持したのはAppleの意地なのかもしれない。

 ここ1〜2年は特に半導体を含む部品不足や流通網の混乱が問題となり、部品単価が上昇気味となっている。Appleもこの影響とは無縁ではなく、部品調達に苦心しているという話を聞いている。後述するが、iPhone 14のプロセッサーがA15 Bionicのままだったのもこの影響とみられ、自身の前モデルとの差別化が難しくなる要因となった。そうした事情にもかかわらず、少なくともProラインの製品については販売価格を維持したということで、Appleとしても価格が一方的に上がることは可能な限り避けたかったのだろう。だが、そのしわ寄せはむしろ下位の製品ラインに影響を与えている。

 AppleはiPhoneの新ラインアップを発表すると、毎回必ず「その時点でApple Storeで販売されるiPhone製品」をすべて紹介している。1年でラインアップと価格の関係が1つずつ「ずれる」とすれば、iPhone 12とiPhone 14の価格がそれぞれ100米ドルずつ上がり、iPhone SEについては小幅だが30米ドルの値上げだ。このラインアップで「iPhone 13が品薄」という理由以外でiPhone 12を積極的に選ぶ理由があるのかは不明だが、利幅の薄くなる下位製品を値上げせざるを得ないあたりに懐事情が見えてくる。

これは2021年にiPhone 13が発表されたときの価格一覧。価格差に注目してほしい
これは2021年にiPhone 13が発表されたときの価格一覧。価格差に注目してほしい
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iPhone 14 Pro/Pro Maxの価格。これはiPhone 13 Pro/Pro Maxの価格を維持した
iPhone 14 Pro/Pro Maxの価格。これはiPhone 13 Pro/Pro Maxの価格を維持した
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iPhone 14 Pro/Pro Maxの機能一覧
iPhone 14 Pro/Pro Maxの機能一覧
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 一方で、多くが指摘するようにアップデートされた機能のほとんどが小粒だ。Proシリーズでは1200万画素だったメインカメラが4800万画素になり、ピクセルビニングを用いた高画質画像が生成できるようになった。14シリーズ共通でスタビライザーが強化されたAction Modeのソフトウエア実装、さらに噂に上っていた衛星通信によるSOS信号の発信やクラッシュ検出などの新機能もある。ただし、ユーザーが普段使いで大きく機能向上を実感するものではなく、このあたりのアピールが弱いのは確かだ。それにもかかわらず、おそらくAppleはiPhoneにユーザーをつなぎとめることに成功するだろう。その仕掛けが絶妙だと感じたのが今回の発表会だ。

強化されたカメラ機能。筆者の情報源によればカメラ機能強化は中国メーカーを非常に意識しており、今後も優先して強化されるポイントになるようだ
強化されたカメラ機能。筆者の情報源によればカメラ機能強化は中国メーカーを非常に意識しており、今後も優先して強化されるポイントになるようだ
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噂の衛星通信機能は携帯電話の届かない場所での緊急通報機能として実装された。ただし北米のみ
噂の衛星通信機能は携帯電話の届かない場所での緊急通報機能として実装された。ただし北米のみ
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Action Modeは主にソフトウエアの強化によるものと考えられる
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Dynamic IslandはiPhone 14 Pro/Pro Maxを選ぶ数少ない理由の1つ
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