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 米最大規模の製造技術展示会「IMTS 2022」(米シカゴ、2022年9月12~17日)において、米MC Machinery Systemsの展示ブースの一画でひときわ存在感を放っていた装置がある*1。米国で初披露となった三菱電機の金属積層造形装置(3Dプリンター)「AZ600」だ(図1)。指向性エネルギー堆積(Directed Energy Deposition、以下DED)方式の中でも、金属材料をワイヤで送給する「(日本では)比較的珍しい」(三菱電機)タイプ。一般的な金属粉末を吹き付ける方式と比べて稠密(ちゅうみつ)性が高く、巣*2が生じにくい(図2)。

図1 三菱電機の金属3Dプリンター「AZ600」
図1 三菱電機の金属3Dプリンター「AZ600」
「IMTS 2022」(会場は米シカゴのマコーミック・プレイス)のMC Machinery Systemsのブースに参考出展した。(写真:日経クロステック)
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図2 AZ600で造形したステンレス製のプロペラファン
図2 AZ600で造形したステンレス製のプロペラファン
写真中央の円筒部品に羽を付加造形した。造形に要した時間は527分。写真左の羽根が造形したそのままの状態。同右の羽根は後加工後。(写真:日経クロステック)
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*1 MC Machinery Systemsは北米における三菱電機製放電加工機、レーザー加工機の総代理店。三菱商事の100%子会社。
*2  鋳造部品の欠陥の一種。凝固時の収縮や空気の混入などの原因で生じた空洞。

 ワイヤ送給方式は、粉末吹き付けの方式と比べて造形速度は早いものの、造形物の形状の精密さに課題があった。ワイヤを溶かすには多くのエネルギーが必要だが、造形物の形状によっては冷却・凝固が追いつかずに、重力の影響を受けて溶融部の形が崩れてしまうのだ。

 そこで同社は、冷却時間を稼ぐためにレーザーをパルス状に照射して、ワークに熱がたまるのを抑えた。さらに、加工室内に設置したカメラや各種センサーから溶融池(メルトプール)の大きさや加工室内の温度など、加工状況をモニタリング(図3~5)。これらの情報をワイヤの送給量やレーザー出力の制御にフィードバックし、造形物の品質を高めた。

図3 加工室内の様子
図3 加工室内の様子
(写真:日経クロステック)
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図4 造形ヘッド
図4 造形ヘッド
写真中央の太い円筒部品から鉛直下向きにレーザーを照射する。写真左から伸びる棒状部品がワイヤ送給部。その先端からシャーペンの芯のように小さく飛び出ているのがワイヤ材料。(写真:日経クロステック)
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図5 造形中の加工室内の映像とメルトプールの様子
図5 造形中の加工室内の映像とメルトプールの様子
造形中の造形ヘッド(a)と、メルトプール付近のカメラ画像(b)。画像からメルトプールの大きさを(ピンク色の線の上下幅)推定する。その情報を基にレーザーの出力などの加工条件をリアルタイムに制御している。(写真:日経クロステック)
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