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Red Hat Enterprise Linux(RHEL)は、世界中で採用されている商用環境向けのLinuxディストリビューションだ。RHELの導入と利用に当たっては、アップストリームやライフサイクルといったRHELに関する用語や概念の基本的な知識が欠かせない。RHELの起源や歴史などと共に必要な情報をまとめて紹介する。

 米Red Hat社(以下、Red Hat)は、社内システムのサーバーから、インターネットやクラウドのインフラを支えるサーバーまで、世界中で採用されているLinuxディストリビューション(Distribution)の1つ、「Red Hat Enterprise Linux(RHEL)」を提供しています。ここでは、Red Hat Enterprise Linuxの歴史、アップストリーム、ライフサイクル、サブスクリプションによって提供されるサポート内容、そして、RHELをはじめとするRed Hatソフトウエアを無料で利用可能となるプログラムなどについて紹介します。

■Red Hat Enterprise Linux(RHEL)の歴史

 Red Hat Enterprise Linux(RHEL、通称「れる」)は、Red Hatが開発および提供している商用環境向けの有償Linuxディストリビューションです。「Linuxディストリビューション(またはLinuxディストロ)」は、Linuxカーネルから構築されたインストール可能なOSのことを意味しており、様々なユーザープログラムやライブラリ、そしてそれらを提供するリポジトリの利用を可能にします。

 RHELは、当初の名前こそ異なりますが、Red Hatが一番最初に提供を開始したソフトウエアであり、Red Hatの根幹を成す製品となっています。Red Hatが提供する様々な他の製品は、ほぼ全てRHELの上で動作するように開発・検証されています。Red Hatは、他の企業を買収して製品ポートフォリオにその企業の持つソフトウエアを組み込むことがありますが、その際には、RHELの上で実行可能なオープンソースソフトウエアに作り直して顧客に提供することを原則としています。

 RHELは、Red Hatの最も象徴的な製品であり、赤い帽子付きのRHELのロゴを見たことがあるという人も多いでしょう。この赤い帽子のロゴは、Red Hatの創業者のエピソードにちなんで採用されたものです。これに関連するエピソードを下記に紹介します。

■「Red Hatブランド標準:Red Hatの歴史」(https://www.redhat.com/ja/about/brand/standards/history)から引用

Red Hat Inc.は、ある小規模事業主が技術会議で1人のギークと出会ったことから始まりました。Marc Ewing(マーク・ユーイング)はテクノロジストで、ノースカロライナ州ローリーの自宅で自作のLinuxRディストリビューションのハッキング、デバッグ、CD上での実行に没頭していました。

Red Hatという社名は、大学のコンピュータラボでEwingが経験したことに由来しています。彼はいつでもコーネル大学の赤いラクロスキャップをかぶっていました。この帽子はもともとは彼の祖父のものでしたが、その帽子のおかげで、学生たちの間では「困ったときには赤い帽子の男に聞けばいい」と言われていました。自分で厳選して作ったLinuxバージョンの配布を始めるにあたり、EwingはそれをRed Hatと名付けました。

Bob Young(ボブ・ヤング)は先見性のある実業家で、コネチカットの自宅でコンピュータ用品のカタログ販売業を運営していました。Linuxへの関心が高まっていると見て取った彼は、EwingのRed Hat Linux CDを商品として取り扱うことにしました。その売上量があまりにも多かったので、かれはEwingと手を組むことにしました。こうして1995年にRed Hat Softwareが誕生し、YoungはCEOになりました。

 上記ドキュメントに記載されている「Red Hat Linux CD」は、「Red Hat Software Linux (RHS Linux)」という名前で、1枚のインストール用CD-ROMが同梱された箱売りの商品(小売価格は49.95米ドル。30日間のインストールサポート付き)のことを指します。1995年、Red Hat SoftwareはRed Hat Software Linuxを「Red Hat Commercial Linux(RHC Linux)」という名前でリリースしました。このRed Hat Commercial Linuxから、パッケージ管理システムであるRPMが採用されています。さらに同年には、Red Hat Commercial Linuxの代わりに、「Red Hat Linux(RHL)」という名前が用いられるようになりました。