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 大型で非常に強い台風14号は2022年9月18日午後7時ごろ、鹿児島市付近に上陸。その後半日強にわたって九州を縦断した後に進路を北東に変え、19日の昼以降は主に中国地方の日本海側を進んでいる。

2022年9月19日正午までの台風14号の進路とその後の進路予想図。台風は九州を縦断した後、北東に進路を変えた(画像:気象庁)
2022年9月19日正午までの台風14号の進路とその後の進路予想図。台風は九州を縦断した後、北東に進路を変えた(画像:気象庁)
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 総務省消防庁が発表した9月19日午後2時45分時点の被害状況では、重傷者6人、軽傷者51人だった。台風の進路予測などに基づいて、緊急安全確保や避難指示といったレベルで早期の避難を呼びかけたことや、九州を縦断した時間帯が夜間で人流を抑制できたことが、19日時点での被害を抑えた可能性がある。

 今回の台風について風に着目すると、観測史上1位の日最大瞬間風速を記録した地点は少なくない。大分県佐伯市蒲江では50.4m/s、佐賀県唐津市唐津では44.1m/sを、それぞれ9月18日に記録している。

 そのため、強風による被害が散見されている。例えば、鹿児島市の中心部に位置するマンションの工事現場で、タワークレーンが折れ曲がった。

ザ・パークテラス高麗タワーの施工現場に設置されたタワークレーン。台風14号の影響でジブが折れ曲がった(写真:共同通信社)
ザ・パークテラス高麗タワーの施工現場に設置されたタワークレーン。台風14号の影響でジブが折れ曲がった(写真:共同通信社)
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 被災したのは、総合病院やシェラトン鹿児島、商業施設などを併設する、キラメキテラスと呼ぶ再開発エリア内にある「ザ・パークテラス高麗タワー」の建設現場だ。南国殖産(鹿児島市)と三菱地所レジデンス(東京・千代田)、穴吹工務店(高松市)が進めていたプロジェクトで、穴吹工務店が施工も手掛けていた。

 鉄筋コンクリート造地上19階建ての建物で、15階部分を施工している段階だった。強風によってジブが折れ曲がってぶら下がるような状態となったので、周辺のマンション住民などが避難した。鹿児島市内では、18日午前9時54分に43.5m/sの最大瞬間風速を記録していた。

 タワークレーンの強風対策については、日本クレーン協会が04年に「クレーン等事故検討委員会」を開催。翌05年に「建設用タワークレーンの強風対策要綱」を取りまとめている。10個もの台風が上陸した2004年に、建設用タワークレーンのジブが損壊する事故が十数件も発生した事態などを踏まえて整備した。

 ザ・パークテラス高麗タワーの建設現場で、この要綱で示された内容と適合する対策を講じていたか否かは現時点では確認できていない。ただし、鹿児島市建築指導課が穴吹工務店に聞き取りを行ったところ、ジブの角度を上げたうえで、風に抵抗せずにクレーンを旋回できるようにする対策などを講じていたという趣旨の回答があったという。

 ジブがぶら下がって危険な状態となったクレーンについては、19日午後から撤去作業を進めている。