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 覆面座談会の前編は、IT業界の多重下請け構造を中心に議論した。後編はベンダーロックインだ。ユーザー企業・官公庁とITベンダーがもたれ合い、コストの高止まりといった弊害を生む温床になってきた。参加者からはベンダーとユーザー側双方の責任を問う声が上がった。

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木村 公正取引委員会が2022年2月に公表した「官公庁における情報システム調達に関する実態調査報告書」を読んで、どう考えてもおかしい点がありました。「特定の事業者のみが対応できる仕様や他社の入札参加を困難にするような仕様を望むことは通常考えられない」という部分です。

 そんなはずないだろう、と。実態は逆で、囲い込まれたがっているケースが少なくないと思います。なぜなら官公庁のシステムや利用部門の業務に詳しいのはIT担当者ではなく、長年にわたって開発や運用・保守を受託してきたITベンダーの方です。既存ベンダーに代わって新しいベンダーが入ってくると、システムや業務を理解している人がいなくなる。そうした事態に陥らないよう、結果として官公庁のIT担当者は既存ベンダーとの契約継続を望みます。これが官公庁におけるベンダーロックインの実態ですよ。

日経クロステック編集委員の木村岳史
日経クロステック編集委員の木村岳史
(写真:村田 和聡、以下同)
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事業サイドの要求を全部聞かないといけない、圧倒的に弱いIT部門がベンダーに丸投げするんですよ(木村)

B氏 難しいところですね。利用部門を巻き込んで業務のデジタル化を頑張っている官公庁も出始めています。

 1990年代末以降、キャリアだけじゃなくノンキャリアの人事ローテーションが活発になったため、(官公庁のIT担当者が)個人の能力というか業務知識を深めるキャリアを描くのが難しくなったのではないでしょうか。本当にケース・バイ・ケースです。IT担当者が利用部門の業務を理解している官公庁もたくさんあります。

覆面座談会の参加者
参加者肩書き
木村 岳史日経クロステック編集委員
A氏中堅ITベンダー社長
B氏中央官庁幹部
C氏大手金融機関などの元CIO(最高情報責任者)