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(写真:伊藤朝輝、以下同じ)
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 2022年9月23日に発売された「AirPods Pro(第2世代)」は、初代から約3年ぶりのアップデートとなる。最新の「Apple H2」チップを初搭載し、米Apple(アップル)の唱える「コンピュテーショナルオーディオ」の最先端を体験できる製品となる。

 筆者は、3年近く前に発売されたAirPods Pro(初代)を今でも日常的に使用している。今回は初代と第2世代の比較に加え、もう1つ愛用しているAirPods(第3世代)との比較も交えてレビューしたい。特にProとProモデル以外のAirPodsで迷っている方には参考にしてほしい。

「AirPodsらしさ」はH2チップのおかげ

 AirPodsには装着時のオン/オフ、音の聞こえ方や他の機器との接続・切り替えなど、様々な機能を制御するためにアップル製チップ(Appleシリコン)が搭載されている。そのうちAirPods Pro(第2世代)で採用されているのがH2チップだ。

 AirPodsという製品が初めて登場した2016年12月のモデルには「W1」というチップが搭載されていたが、2019年3月発売のAirPods(第2世代)から「H1」チップが搭載されるようになった。目立った変化としては、AirPods装着時にいつでも「Hey Siri」と声を出せば、音声アシスタントSiriに指示を出せるようになった。マイクで常時ユーザーの声を聞き取れるように待機していても、バッテリー駆動時間を変えずにこの機能を実現していることになる。

 その後に発売されたAirPods Pro、AirPods Maxといった上位モデルもH1チップを搭載して発売された。「アクティブノイズキャンセリング」(後述)はH1チップのままで実現されており、このチップのポテンシャルの高さが分かる。

AirPods Pro(第2世代)に搭載されるApple H2はAirPods向けに設計された最新のAppleシリコン。これまで以上にゴージャスな音と一段とレベルの高いアクティブノイズキャンセリングに一役買っている(アップルのホームページより)
AirPods Pro(第2世代)に搭載されるApple H2はAirPods向けに設計された最新のAppleシリコン。これまで以上にゴージャスな音と一段とレベルの高いアクティブノイズキャンセリングに一役買っている(アップルのホームページより)
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音がゴージャスになり音像が鮮明に

 AirPods Pro(第2世代)は約3年半ぶりのアップデートとなる。装着して再生される音を聞くとその違いはすぐに分かった。低音域の迫力が増し、ドラムのキックの硬さがリアルに感じられる。中音域も豊かになり再生される曲が全体的にゴージャスになった。高音域は輪郭がくっきりした印象だ。アップルの立体音響「空間オーディオ」対応の音源では、音場内での楽器の配置がより明確になったように感じられる。

 Dolby Atmosなどの立体音響の映像作品では、より違いを感じることができた。例えば、雨が降る街で車が行き交うシーンでは、雨音だけでも離れたところで降る雨と、自分の近くで降る雨の奥行きの違いが感じられる。

 初代AirPods Proを明らかに超えるゴージャスで繊細な音が楽しめた。第2世代に慣れると初代はやや物足りなく感じてしまった。

立体音響は映像作品でより効果を感じられた。1つ1つの音と位置が初代よりも鮮明になった印象を受ける
立体音響は映像作品でより効果を感じられた。1つ1つの音と位置が初代よりも鮮明になった印象を受ける
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