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 特殊なモルタルを積層させて、住宅や土木インフラのような大規模な構造物を造形する注目の技術、建設3Dプリンター。スタートアップ企業のPolyuse(ポリウス、東京・港)は、日本におけるトップランナーだ。創業者で代表取締役CEO(最高経営責任者)を務める岩本卓也氏は2022年10月19日、オンラインで開催中の「日経クロステック EXPO 2022」で、最新の取り組みを明かした。

Polyuseの岩本卓也CEO(右)と、モデレーターを務めた日経クロステック副編集長の木村駿
Polyuseの岩本卓也CEO(右)と、モデレーターを務めた日経クロステック副編集長の木村駿
(出所:日経クロステック EXPO 2022の配信をキャプチャー)
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Polyuseの建設3Dプリンターで建物の部材を印刷する様子。ノズルから特殊なモルタルを吐出して積層していく(写真:日経クロステック)
Polyuseの建設3Dプリンターで建物の部材を印刷する様子。ノズルから特殊なモルタルを吐出して積層していく(写真:日経クロステック)
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 コンクリート構造物をつくる際は一般に、専門の職人が鉄筋を組み、型枠を立て込んでから生コンクリートを流し込む手順を取る。建設3Dプリンターであれば型枠を用いずに構造物を造形できるので、建設現場の省人化や工期短縮などに役立つと期待されている。Polyuseは22年に入り、国内で初めて確認済み証の交付を受けて10m2を超える倉庫を印刷した実績を持つ。擁壁や集水升など、土木構造物の造形例も多く抱えている。

 岩本氏は、建設3Dプリンターの導入を検討する際に、Q(Quality、品質)、C(Cost、費用)、D(Delivery、作業時間)、S(Safety、安全性)、E(Environment、環境)の5つの観点で考えることが重要だとする。建設3Dプリンターを使用すると材料費などのコストが高くなることがあるが、一方で現場での作業時間を大幅に短縮したり、安全性を高めたりできる場合がある。こうしたメリット、デメリットをてんびんにかけ、使いどころを見極めていくことが肝心だという。

建設3Dプリンターの導入効果について語るPolyuseの岩本卓也CEO
建設3Dプリンターの導入効果について語るPolyuseの岩本卓也CEO
(出所:日経クロステック EXPO 2022の配信をキャプチャー)
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 岩本氏は、実際の造形例が数多く出てきた22年を「建設3Dプリンター元年」と定義する。では、23年はどうか。岩本氏は「本格的な普及に向けて、積み重ねた多くの事例などを基にガイドラインや基準類などを作成する『準備』の1年になる」と指摘し、次のような未来を描く。「24、25年には指針を制定し、それに基づいて工事の発注を始める。30年にはICT(情報通信技術)を活用した工事が当たり前のように行われるようになる」

 こうしたロードマップを念頭に、Polyuseも事業展開を加速する方針だ。「現在、プリンターのベータ版を開発中だ。今年中、あるいは来年にも一部に提供を開始したい。24、25年には量産品を発売するのが目標だ」(岩本氏)。Polyuseのプリンターは門形に分類され、産業用ロボットアームをベースとし、数千万円もする海外製のプリンターよりも圧倒的に安くつくることができる。「1000万円程度にできると見込んでいる。広く使ってもらってアップデートをかけることで、より良い製品に磨き上げていくつもりだ」(岩本氏)