DX(デジタルトランスフォーメーション)推進企業はDX人材の育成に重点を置いている。担い手がいなければDXを推進できないからだ。ただ、DX人材育成には「学びが進まない」「学んでも生かせない」との懸念がある。DX先進企業はこうした懸念を払拭すべく、7つの工夫を凝らしていると分かった。これらを順に紹介していこう。
- 工夫1 自律・成長を促す全体設計に
- 工夫2 デジタル以外のスキルも重視
- 工夫3 適切な人に適切な研修を←今回はここ
- 工夫4 とっつきやすくする
- 工夫5 演習は現場の生きた題材で
- 工夫6 学び後のつながりをつくる
- 工夫7 「留学」の制度を
工夫3 適切な人に適切な研修を
第3の工夫は、適切な人に適切な研修を受けてもらうことだ。「現場のキーパーソン」「管理職や役員」「新人や若手社員」への適切な研修は欠かせない。
現場のキーパーソンにはぜひDXを推進するリーダー向け研修を用意したい。
住友商事の西原嘉宏デジタル事業企画部長は「業務現場のキーパーソンがデジタル技術を使って業務を改善するとDXはうまく進む」と話す。全社員を対象にした、DXスキルを底上げする研修などの施策は大切だが、「DXの推進に適した人材を特定して、研修を実施していくことも重要だ」(西原部長)。西原部長はDX推進人材の研修などで、業務部門と連携して受講者を選んでいるという。
管理職を「粘土層」にしない
加えて、管理職や役員に向けてもぜひ研修を実施したい。住友商事の西原部長によると、「業務現場の社員たちがDXを進めたくても、経営陣が別の課題の解決を重視していると、そのDX案件が進まない」ことは起こりがちだという。「こうした場合、経営側がDX案件をドライブしていかないと、DXの成功確率は上がらない」(西原部長)。