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 NTNはロボットの関節機構向けに、軸受と磁気式エンコーダーから成るユニット「複列磁気エンコーダ付転がり軸受」を開発した(図1)。軸受とエンコーダーの一体化により、小型・軽量化や組立工数の削減が可能。高精度に角度を検出できる磁気リングなどを採用しているため、ロボットの動作精度を高められるという。軸受寸法や負荷容量は通常の軸受と変わらず、さまざまな種類のロボットに適用できる。

図1 「複列磁気エンコーダ付転がり軸受」の外観
図1 「複列磁気エンコーダ付転がり軸受」の外観
深溝玉軸受「6907」を使用した場合の寸法は、内径35×外径55×幅20.5mm。(出所:NTN)
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* NTNのニュースリリース: https://www.ntn.co.jp/japan/news/new_products/news202200064.html

 ロボットの関節機構を支持する深溝玉軸受の内輪に磁気リングを、外輪に磁気センサーICを装備して、回転速度・方向や絶対角の検出機能を持たせた(図2)。磁気センサーICで磁気リングの磁極の変化を読み取り、回転速度などを検出する。角度検出の精度は最大20ビット、分解能で約0.00034°としている。

図2 複列磁気エンコーダ付転がり軸受の構造
図2 複列磁気エンコーダ付転がり軸受の構造
深溝玉軸受に磁気リングと磁気センサーICを組み合わせて、回転速度・方向や絶対角の検出機能を持たせた。(出所:NTN)
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 採用した磁気リングは、高精度な角度検出と薄型・軽量を特徴とする「複列磁気リング」。リング部材にゴム磁性体を複合成形した後に極数の異なる2列の磁気トラックを着磁させた「複列磁気エンコーダ」と、磁気センサーから成る。従来のエンコーダーのN/S極のペア配列が32/31極対であるのに対して、複列磁気エンコーダは64/63極対。そのため、高度な角度検出が可能だとする。さらに、軸受と回転検出部の一体化技術を生かして、複列磁気リングと磁気センサーICの間隔・向きなどを最適化して、小型・軽量化を実現した。

* 2017年4月20日付、NTNのニュースリリース: https://www.ntn.co.jp/japan/news/new_products/news201700033.html

 開発品を使用した場合、関節機構の軸とロータリーエンコーダーをつなぐ動力伝達装置(カップリング)が要らず、関節機構を小型・軽量化できる上、ロボットの組み立てが容易になる(図3)。加えて、磁気式エンコーダーは耐環境性に優れるため、ほこりや油が発生する環境でも高い検出精度を実現できるという。

図3 複列磁気エンコーダ付転がり軸受による小型化のイメージ
図3 複列磁気エンコーダ付転がり軸受による小型化のイメージ
ロボットの関節機構の部品点数を減らし、小型化できる。(出所:NTN)
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 同社は開発品を「第31回 日本国際工作機械見本市(JIMTOF2022)」(2022年11月8~13日、東京ビッグサイト)に参考出展する。