ジェイテクトとジェイテクトマシンシステム(大阪府)は、共同で新開発した立形複合研削盤「G3VU86」を「第31回 日本国際工作機械見本市(JIMTOF2022)」(2022年11月8~13日、東京ビッグサイト)で披露した。トヨタグループのトポロジー最適化技術などを用いて装置の剛性を高め、より深く削れるようにした。大型のロボットや半導体製造装置、工作機械などに使う大型部品の加工を効率化できると見込む。
立形複合研削盤は、垂直に取り付けた円筒型の工作物の内径・外径・端面を研削できる装置。新型機のG3VU86は最大で深さ600mmをワンチャックで削れる。同社の従来機が削れる深さは最大500mmで、それより深く削る場合はクレーンなどを使ってワークを反転させて再加工する必要があった。反転させてワークの位置を調整する作業には時間がかかる上、再チャックによる芯ずれによって加工精度が落ちてしまう点が課題だった。
深さ600mmを正確かつ早くに削るため、トポロジー最適化技術を活用してプラットフォームを強靭(きょうじん)化した。「変形」と「熱変位」の最小化を目的関数とする複合解析で、高剛性かつ低熱変位の構造を導き出したという。さらに主軸を支持する「クイル」の長さを従来の80mmから300mmに伸ばすことで研削点剛性を従来比3倍に高めた。深い研削に耐えられるようになり、切り込み速度も向上した。自動工具交換装置(ATC)は6ツールを標準搭載し、加工効率を高めている。