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 加茂精工(愛知県豊田市)は、回転するピニオンに潤滑油を自動供給する固形潤滑剤「TLS(TCG潤滑供給システム)」を「第31回 日本国際工作機械見本市(JIMTOF2022)」(2022年11月8~13日、東京ビッグサイト)に出展した(図12)。同社のラック&ピニオン「TCG(トロコイドカムギヤ)」シリーズのピニオンに取り付けて使う。ピニオンの回転寿命まで、追加の給油なしで潤滑油を供給し続ける。

 TLSは、多孔質の樹脂に高粘度の潤滑油を含浸させた固形潤滑剤。ケースと樹脂部分の間に設置したばねで、ピニオンに接触させる。ピニオンが回転すると、樹脂にかかる圧力や回転の熱などによって接触面に給油する仕組みだ。これにより、ピニオンとラックのかみ合い面には常に油膜が形成される。

図1 自動給油システム「TLS(TCG潤滑供給システム)」
図1 自動給油システム「TLS(TCG潤滑供給システム)」
多孔質樹脂には耐摩耗性の高いものを採用。取り付けやすさに配慮してシンプルな構造にしたという。(写真:松田 千穂)
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図2 「TLS」の取り付けイメージ
図2 「TLS」の取り付けイメージ
ばねの力で潤滑剤部分をピニオンに接触させる。(出所:加茂精工の資料を松田 千穂が撮影)
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 給油に電力を使わないので、設置の手間とランニングコストがかからない。あらかじめ潤滑油が含まれているためすぐ使い始められる。追加給油も要らないため、人が作業しにくい場所でも使いやすい、省スペースで設置できる、といった利点があるという。