超精密な微細加工の工作機械を手掛ける碌々(ろくろく)産業(東京・港)。Q1は、3cm角程度の高耐熱性エンジニアリングプラスチック(エンプラ)の板に小径の微細加工を施したサンプルワークだ。白丸の内側にある薄いオレンジ色に見える部分は、1辺が2mmもない小さな正方形となっている。同社はこの薄いオレンジ色の部分に貫通穴(以下、穴)を加工した。何個の穴が開いているか分かるだろうか。
答えは、441個だ(A1)。直径50μmの穴が縦21×横21個開いている。肉眼では見えず、441個の小さな穴から漏れた光が束となって薄いオレンジ色に見えているのである。
サンプルワークには薄いオレンジ色の部分が4箇所ある。そのため、実はこの1枚のサンプルワークには全部で1764個(441×4)の穴が開いている。穴のばらつきは、これらの1764個を加工しても±2.5μmに収まる高精度だ。
もう1つのサンプルワークがQ2。同じくエンプラの板の中央に、淡くオレンジ色に光る、直径が1mmに満たない「1点」が見える。だが、肉眼で1点に見えるだけで、実は1個の穴ではない。何個の穴が開いているか分かるだろうか。