企業の品質不正が後を絶たない。直近では、長年にわたる検査不正が明るみに出てほとんどの商品の販売停止に追い込まれた日野自動車の例が記憶に新しい。“高品質”を売りにしてきた日本企業でなぜ、品質不正が続くのか、企業のどこに問題が潜んでいるのか、そして、どうすれば防ぐことができるのか。元芝浦工業大学教授で品質不正に詳しい安岡孝司氏に、品質不正を防ぐための7カ条を解説してもらう。

品質不正を起こさないための7カ条
目次
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複数部門の兼務は出世の近道?
第7条(最終回):兼務を断ろう
品質不正防止の第7条は「兼務を断ろう」です。複数の部署を兼務している会社員は少なくありません。特に経営企画部と社内監査部の部長を兼務しているような人は、経営陣からの信頼が相当厚いように見受けられます。しかし兼務には重大なリスクが隠されています。
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第7回 品質不正防止の要は人事システムにあり
第6条「人事異動をポジティブに捉えよ」
不正防止の観点では、人事ローテーションには次の3つの目的があります。[1]取引先との癒着を防ぐ[2]不正を引き継がせない[3]しがらみのない外部の人間による監視を利かせる――です。
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第6回 なぜリーダーには高い好感度が要るのか?不正を防ぐ理想の上司とは
第5条「周りに感謝しよう」
今回は品質不正の事例を反面教師として、理想の上司像を考えます。理想の上司像は古くから議論されているテーマですが、ここでの考え方の軸は不正防止だけではなく、組織の成長との両立にあります。不正防止と成長はトレードオフのような関係にみえるかもしれませんが、実は共通点があります。それは働く人にとって幸せな…
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第5回 保身に走る管理職、パワハラと品質不正の関係とは
第4条「不正の温床パワハラをなくせ」
パワハラ体質の職場では従業員が心身を傷めるケースが珍しくありません。どの経営者も幸せな職場にしたいはずですが、真逆の環境といえます。では、幸せな職場かどうかをどうすれば測れるのか。その方法の1つに、企業理念に共感する社員の割合を測るというものがあります。
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第4回 セクショナリズムが強いと品質不正が起きやすいのはなぜか
第3条「他部門に興味を持とう」
周りの部門に無関心だと、自部署さえよければよしとする考え方、つまりセクショナリズムに陥りやすくなります。セクショナリズムには「排他型」と「無関心型」があります。どちらもその弊害は、競争力や生産性の長期的な低下をもたらすということです。この状態に陥ったときのワーストシナリオが品質不正です。
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第3回 コスト部門を見下す辣腕社員の危険性
第2条「コスト部門を軽視するな」
品質不正防止の第2条は「コスト部門を軽視するな」です。ここでいう「コスト部門」とはコストセンターだけでなく、検査部門のように現場でコストとみられがちな部門も含めます。
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第2回 社内格差の固定が不正を生む
第1条「日陰の人に光を」
品質不正防止の第1条は「日陰の人に光を」です。ここで言う「日陰の人」とはぱっとしない人や地味な部門の人のことです。日陰の反対には日なたがあり、経営者や輝いている部門の人は日なたの人といえます。日の当たらない人たちに光を当てるというのは、彼らにも活躍のチャンスがあるべきだという意味です。
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第1回 勝ち組社員が育ててしまう不正の温床
日野自動車の品質不正は、中大型車のディーゼルエンジンの燃費・排ガスの検査不正の発覚から始まりました。この件の調査報告書は2022年の8月2日に公表され、そのわずか20日後の同月22日には、国土交通省の立ち入り検査で小型トラック用エンジンの性能試験における不正が発覚しました。結果的に、同社の国内向け…
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