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 シャープは開催中の展示会「CEATEC 2022」(幕張メッセ会場での展示は2022年10月18~21日)で、パッケージの面積が1/4以上小さく、消費電力の低いバイタルセンシングセンサーを出展した(図1)。「従来難しかったイヤホンなどにも搭載できるようになった」と同社 担当者は胸を張る。

図1 シャープが開発する超小型脈拍センサー
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図1 シャープが開発する超小型脈拍センサー
センサーの隣に比較として米粒が置かれている。かなり小型なので、裸眼での判別が難しかった(写真:日経クロステック)

 バイタルセンシングセンサーは脈拍を測るために使われ、スマートウオッチなどへの搭載が進む。LEDなどの光を皮膚表面に照射し、血中のヘモグロビンに反射させる。脈拍に応じて反射光が変化するため、数値を計測できる。

 ただ、これまで課題になっていたのがセンサーの大きさだ。例えばイヤホンやスマートリングのような曲面が多い外観のハードウエアには従来のセンサーは大きすぎ、搭載が難しかった。「実際には耳や指のほうが毛細血管の密度が高く、脈が測りやすい」(同担当者)ため、開発品をイヤホンなどに搭載することでより精度の高い計測ができるという(図2)。

図2 スマートリングなどへの搭載に向ける
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図2 スマートリングなどへの搭載に向ける
脈拍センサー単体機能としてのスマートリングというより、むしろ多機能スマートリングの1機能としての活用に向けるという(写真:日経クロステック)

 開発品の外形寸法は幅1.00mm×長さ1.75mm×奥行き0.35mm。シャープが従来開発してきたバイタルセンシングセンサーの外形寸法は幅5.6mm×長さ2.1mm×奥行き1.25mmだったという。消費電力は1波長の開発品で220μAと低い。通信にはI2C(Inter-Integrated Circuit)規格を使う。

 シャープによれば、「1波長品は2023年3月まで、2波長品は2023年12月までの量産化を予定する」という。今後はイヤホンやスマートリング、眼鏡などへの搭載を目指し、音響機器などのメーカーとの協業に向ける。脈拍計測単体機能の機器としてのニーズも見込むという(図3)。

図3 脈拍計測で興奮度などを測る
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図3 脈拍計測で興奮度などを測る
脈拍計測機単体としての評判が良いため、単体での製品化も視野に入れるという(写真:日経クロステック)