車内に置き去りにされた子供が亡くなる痛ましい事故が相次ぐなか、センサー機器を手掛ける電子部品メーカーなどが事故を未然に防ぐ見守りシステムを提案している。非接触かつ高精度で子供の存在を検知できるセンサーや、既販の車両に容易に後付けできるセンサーなど状況に合わせて対応できる。欧州では新車の子供置き去り検知機能の基準が段階的に厳しくなる見込みで、事故を防ぐ取り組みが世界中で進んでいる。
電子部品メーカーなどは独自のセンサー技術を生かした見守りシステムを提案している。最先端IT・エレクトロニクス総合展「CEATEC 2022」(2022年10月開催)では、安全性を高めるシステムが複数出展された。
アルプスアルパインは、安価なパルス式レーダーを使った子供の置き去り検知センサーを出展した。手のひらサイズのセンサーを車室内の天井などに設置するだけで、子供の有無や動きを検知できる。2mの範囲内であれば、ブランケットの上からでも子供を検知できるなど精度と使い勝手を両立させた。ファミリーカーなどへの導入を見込んでいる。
CEATEC会場では、幼児の呼吸のわずかな動きを検知するデモを披露した。パルス式のレーダーはカメラや音波、圧力センサーや静電センサーを使う他方式と比べて安価で、回路の仕組みも簡素にできる特徴がある。消費電力が少ないのも電力が限られる自動車にとって大きな利点だ。電波の指向性を制御することで広い空間をカバーした。
欧州市場における新車の安全試験プログラム「Euro NCAP」では、幼児の置き去りを検知する機能「Child Presence Detection(CPD)」の試験が2025年以降に厳格化される見通しだ。アルプスアルパインは実績を積むことで、より多くのメーカーからの採用を目指す。アルプスアルパインの説明員は「小型で設置も容易なので、後付け(アフターマーケット)でも使えるかもしれない」と語る。
三菱電機は近赤外線カメラと電波(ミリ波)センサーを使って乗員をモニタリングしたり、車室内の幼児の存在を検知したりできるコンセプトカー「EMIRAI xS Drive(イーミライ エックスエス ドライブ)」を出展した。運転中の体調不良や、停車時の子供の置き去りを検知して事故を未然に防ぐのに役立てる。