シスコといえばネットワークの会社というイメージをお持ちの方が多いでしょう。しかし現在は、企業や社会のDXをエンド・ツー・エンドで支援できる会社に生まれ変わっています。DX実現に向けてどのような支援ができるのか、日本における戦略や提供するプラットフォームについて紹介したいと思います。
今が勝負!これからの30年、サステナブルな未来に向け、ビジネスそして社会を一緒に変えていきましょう
100人超のリーダー、社員が議論しまとめた3カ年戦略
シスコジャパンは2022年5月に創立30周年を迎えました。これを機に2022年から始めた成長戦略が「Project Moonshot(ムーンショット)」です。かつての月面探査への挑戦のように、一見不可能のように思えても実現すれば大きなインパクトをもたらす目標であるという思いを込めて社員が命名しました。成長戦略の策定にあたっては、シスコが、日本のDXにどう貢献できるか、そして「すべての人々にインクルーシブな社会を実現する」というシスコのパーパスの観点から、社内のリーダーや現場の社員の合計約100人と議論を重ね、4つの戦略分野を定義しました。
1つ目が「企業のデジタル変革」で、その重要テーマに「働き方改革」があります。これからの時代はオフィスとテレワークを組み合わせたハイブリッドワークが定着していくでしょう。ネットワークインフラ、セキュリティーやコラボレーションツールを含めた環境を整える必要があります。シスコはポートフォリオを結集し、また「働きがいのある会社」でナンバーワンになった自らの経験を踏まえ、ハイブリッドワークを支援します。
業種別DXソリューションの開発にも注力しています。製造・金融・流通・公共を重点に、ビジネス成果を実感できる具体的なユースケースを提供しています。支援するのは大企業だけではありません。2015年から中堅中小企業向けに、シンプル(簡単)・スマート(高機能)・セキュア(安全)なDXソリューションを展開しています。
2つ目が社会のデジタル変革です。シスコは国のデジタル化施策を支援する「カントリー・デジタル・アクセラレーション(CDA)」を推進しています。これは、シスコがグローバルで展開する戦略的な投資プログラムで、デジタル化により社会課題の解決や新たな経済成長を促すことを目的とするものです。各国の政府機関や企業と連携し、これまでに世界44カ国で1000以上のプロジェクトを支援してきました。日本でも2020年から活動を開始しましたが、2022年度からはCDA2.0としてカーボンニュートラル、デジタルソサエティ、デジタルヘルスケアの分野への追加投資を決定しました。ほかにも、政策面では日米財界人会議を通じた日米政府への提言活動を、デジタル人材の育成では「ネットワーキングアカデミー」という将来のITエンジニアを育成するプログラムなどを展開しています。
3つ目の戦略がシスコ自身のビジネスモデル変革です。従来はお客様への需要喚起から購入・導入までが中心でしたが、現在は導入後の活用・最適化・ビジネスへの貢献までを見据えてライフサイクル全般を支援すべく、カスタマーサクセスの専任部隊を設置しました。最新機能の活用や自動化を推進し、ビジネスに即応できるビジネスアジリティの実現を支援します。
最後がパートナー様との新たな価値共創です。シスコだけで日本のデジタル変革は推進できません。既存のパートナー様との協業だけでなく、新しいパートナーやお客様との新たなビジネス共創による、ソリューションやマーケットを創造するイノベーション・エコシステム構築が不可欠です。2022年7月にはエコシステムパートナープログラムを立ち上げました。スタートアップをはじめ、特定領域でユニークなアプリケーションやノウハウを有するパートナー様と新たな価値を創造していきます。
クラウドファースト時代のDXプラットフォームを提供
4つの戦略を支えるのが、シスコが提供するDXプラットフォーム。DXの推進には、環境の変化に即応できる俊敏さ・強靭さをもつITプラットフォームが不可欠です。
シスコはセキュアで俊敏なネットワーク、最適化されたアプリケーション体験、ハイブリッドな働き方、未来のインターネット、エンド・ツー・エンドセキュリティ、エッジのケイパビリティという6つのテクノロジーを複合的に実装したプラットフォームを提供し、従来型のレガシーシステムからクラウドファースト時代のDXプラットフォームへのマイグレーションを実現します。
私は2021年の社長就任にあたり、「お客様の成功、パートナー様の成功こそがシスコの成功である」という言葉を社員に繰り返し伝えました。そのためには、シスコ自身が、ネットワークの会社、信頼される製品ベンダーから一歩踏み込み、お客様に常に寄り添いながら、長期的にビジネスを支援し続ける「戦略的なビジネスパートナー」にならなければなりません。
世界は、コロナ禍という危機を乗り越え、新しい時代が始まろうとしています。日本がこれからどう成長していくのか、それは、今が勝負の時です。サステナブルな日本の未来に向け、一緒にビジネスを、そして社会を変えていきましょう。
本記事は2022年8月24日~26日にオンライン開催された「IT Japan 2022」のリポートです。