メインに使っているパソコンのOSをLinuxにしたくても、使い慣れたWindows環境から完全に移行することに不安を感じる人は多いだろう。そこで、Windows環境を残しながらLinuxに引っ越す方法をまとめた。
Windows環境の残し方として、この特集では「仮想化」と「リモートデスクトップ」をお薦めしました。ここでは、実際にWindows環境を「仮想化」と「リモートデスクトップ」に残すための手順を解説します。Windows環境と快適に共存できるようにする工夫も紹介します。
Windows環境の残し方1
「仮想化」で残す手順
Windows環境を「仮想化」に残すときの引っ越しパターンは、Windowsライセンスの提供形態の違いに応じていくつか考えられます。ここでは、Windows 10がプリインストールされていた市販PCに、Ubuntu 22.04 LTSを新規インストールして引っ越すものとします(図1)。また、Windows環境は、このUbuntu 22.04 LTSに仮想化ソフト「Oracle VirtualBox」(以下、VirtualBox)をインストールして残すことにします。具体的には、VirtualBoxで仮想マシンを作成し、この仮想マシンにWindows 10を新規インストールします。
手順1
引っ越し前の準備作業
元のWindows PCにUbuntu 22.04 LTSをインストールする前に、やっておくべき作業があるので進めてください。
1 既存Windowsをバックアップ
今回は、仮想マシンにWindows10を新規インストールするため、いま使っているWindows環境から必要なファイルやアプリケーションのデータなどを移行できるように、バックアップしておく必要があります。
2 Microsoftアカウントと紐づけ
市販PCは購入時点でデジタルライセンスで認証されています。このデジタルライセンスをMicrosoftアカウントと紐づけておくことで、仮想マシンでライセンス認証しやすくなります。既に紐づけが済んでいる場合は、この作業は飛ばしてください。
紐づけるには、Windows 10の「設定」画面を開き、「更新とセキュリティ」→「ライセンス認証」とクリックして「ライセンス認証」の画面を開き、「Microsoftアカウントを追加」でMicrosoftアカウントを追加します。
3 Windows 10の最新版ISOを入手
Windows 10の最新のISOイメージファイルを入手します。手元にWindows 10のセットアップDVDがある場合でも、バージョンが古くなっているので、必ず、入手しておいてください。
Windows PCでWebブラウザーを起動して「Windows 10のダウンロード*1」のサイトにアクセスします。「ツールを今すぐダウンロード」というボタンがあるのでクリックしてください。2022年9月末時点で「MediaCreationTool21H2.exe」ファイルがダウンロードされます。
ダウンロードしたファイルをダブルクリックすると、「Windows 10セットアップ」ツールが起動します。図2の手順で進めるとISOイメージファイルのダウンロードが始まります。ダウンロードが完了すると保存先フォルダーのパスが表示されるので、そのフォルダーをエクスプローラーで開き、「Windows.iso」ファイルをUSBメモリーなどにコピーします。なお、ISOイメージファイルは4Gバイトを超えるため、USBメモリーは「NTFS」形式でフォーマットしておかないとコピーできません。