ITエンジニアの基礎力を証明する国家資格として多くの受験者を集めてきた「基本情報技術者試験(FE)」が、2023年4月から大きく変わる。実施方式や出題範囲など変更は多岐にわたる。
関連記事 基本情報技術者試験が1969年発足以来の「大改訂」、どうなる難易度変更に向け、試験を運営する情報処理推進機構(IPA)は2022年10月1日から実証試験を実施している。運営上の課題などを抽出するため、実証試験は新方式に準じる。記者が実証試験に参加したところ、一部の受験者がぶつかりかねない壁に気付いた。
プログラミングから逃げられない
読者の参考にしていただくため、まずは受験した記者のプロフィルについて記しておく。記者は約3年前まで他社で情報システム部門に所属していた。情シス勤務といっても設計や開発には携わっておらず、社内ITに関する企画・管理がメインの業務であった。文系学部出身で、プログラミングは1度Pythonの環境構築をやった程度だ。数学は大の苦手。こんな記者でも2018年10月、FEに合格している。
1度は同試験に合格している記者だが、新方式を受けるに当たって懸念があった。旧「午後試験」に相当する「科目B」が、主にプログラミングやアルゴリズムについての理解を測るものになった点だ。
記者が受験した2018年10月当時、午後試験は分野の異なる13の大問から任意の問題を選ぶ形式だった。いわゆる「マネジメント系」「ストラテジ系」の大問を選ぶことで、プログラミングの素養を問われる問題の配点をかなり小さくできた。実際記者も必須の「情報セキュリティ」「データ構造とアルゴリズム」以外は、「ネットワーク」「データベース」「プロジェクトマネジメント」「システム戦略」「表計算」と選択し合格へこぎ着けた。
午後試験の内容は2020年にも大きく変更された。その際は、選択できるプログラミング言語の変更に加え、プログラミングに関する問題の配点が増加した。それが2023年にはプログラミングとアルゴリズム、情報セキュリティーだけを問うようになる。FEは数年間掛けてIT全般に関する幅広の知識よりも、プログラミングやアルゴリズムへの理解に重きを置く試験に変化してきたといえる。
今回実証試験への参加にあたり特に準備や対策はせず、2018年にFEに合格した際の勉強と、日ごろの記者業務から得られる知識を頼りにした受験となった。