開発対象のシステムが変われば、習得しなければならない言語も変わる。ITエンジニアにとって、時流に合ったプログラミング言語を習得することは重要だ。では、ITエンジニアがスキルを磨きたいと思っているプログラミング言語は何か。
日経クロステックが実施したWebアンケートでは、今後スキルを磨きたい言語や利用したくない言語を聞いた。
スキル不足を感じる割合が高いPython
アンケートでは、今後スキルを磨きたい言語を複数回答で選んでもらった。スキルを磨きたいということは、すなわち今後の利用が見込まれる言語である。アンケート結果を見ると、第1位は「Python」だった。回答者457人中247人がスキルアップを望んでいる。回答者の過半数がPythonのスキルを磨きたいと考えているようだ。
日経クロステックでは2018年からプログラミング言語利用実態調査を実施しているが、5年連続でスキルアップしたい言語の第1位は「Python」だった。もはや不動の1位だ。Pythonはデータ分析システムやAI(人工知能)システムの開発に多用されている。DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進には、こうしたシステムが欠かせない。多くのITエンジニアがスキルアップを望んでいるのもうなずける。
またメインにPythonを利用している人は他の言語に比べて、自身のスキル不足を感じている割合が高かった。アンケートには「あなたは業務を進める上で、プログラミング能力が不足していると感じていますか」という設問を設けた。Pythonをメインに利用している人は、自身のスキル不足を感じている割合が最も高かった。「感じる」と回答したのは22.0%であり、「やや感じる」と回答したのは23.3%だった。
第2位に躍進したRust
意外だったのは「Rust」(152人)が第2位に躍進したことである。RustはC/C++の代替として注目を集める言語だ。文法はC/C++に似ており、処理速度が速く、並行処理を記述しやすいという特徴がある。
またRustは、メモリーなどのリソースを安全に管理するために「所有権」という概念を取り入れて安全性を高めている。ただ、この概念を理解するのは難しく、Rustを学ぶうえでの大きな障壁の1つになっている。こうした点が、ITエンジニアに「スキルを磨きたい」と思わせているのだろう。
Rustのバージョン1.0がリリースされたのは2015年であり、比較的新しい言語だ。これまでOSやサーバーサイドの処理を実装するシステムプログラミングでは、C/C++が利用されていた。今後はこうした処理を、より安全性の高いRustで記述するシステムが増えそうだ。
第3位は「JavaScript」(128人)、第4位は「TypeScript」(110人)だった。JavaScriptやTypeScriptは主にWebシステムのフロントエンドに利用される言語だ。現在のシステム開発ではWeb技術を用いることが多く、これらの言語のスキルアップが求められているのだろう。