物価の高騰が止まらない今、通信費やネットサービス代などデジタル関連のコストを見直そう。さらに、大手ショッピングサイトでは1円でも安く購入し、100均グッズも上手に活用することで、節約しながらも快適なデジタルライフを送ろう。
2022年に入り、円安やロシアのウクライナ侵攻による原材料高騰などを背景に、国内では物価上昇の波が次々と押し寄せている。家計に関わるモノやサービスの価格水準を表す消費者物価指数は、足元の2022年7月期において食料品、水道・光熱、交通関連の各分野で、前年同月比の数値が軒並み上昇した(図1)。
こうした値上げの動きは、パソコンや携帯端末の分野にも及ぶ。米アップルは2022年7月、1ドル=130円を超える円安が続くことを理由に、国内で販売する「iPhone」や「iPad」といった主力製品の価格を5000~2万5000円も引き上げた(図2)。NECはアップルに先立って同年6月に、法人向けパソコンの価格を1割程度値上げすると発表した(図3)。円安や原油価格の高騰に伴う製造・輸送コストの上昇が、自助努力では吸収できない状況という。
さらに、製造コストや輸送コストが掛からないサブスクリプション(サブスク)にも値上げの動きが広まっている。先陣を切ったのは、日本マイクロソフトだ。2022年3月から、サブスク型Officeクラウドである「Microsoft 365」など法人向けプランの月額料金について、約1~2割の値上げに踏み切った(図4)。同社は価格改定の主な理由として、グローバル展開における定期的な見直しとともに、為替レートの変動を挙げている。同様の理由で米アドビも同年4月、クリエイター向けの統合サブスクサービス「Creative Cloud」の値上げを実施している。
解約忘れを後押しか
サブスクは、契約に気付かずに課金され続ける「解約忘れ」によるトラブルが社会問題となっている。ところが、アップルは2022年5月、問題の悪化に拍車を掛けるような新たなサブスク課金制度を導入。値上げ額が一定条件未満であれば、サブスクの提供元は、契約中のサブスクをユーザーの承諾なしに自動で値上げできるように制度を改定した。具体的には、値上げ幅が、①現行料金の50%未満②年間契約なら1年当たり50ドル以下、それ以外の場合は契約期間当たり5ドル以下、の両方を満たせば、提供元は1年に1回に限り値上げを自動で適用できる。従来は、価格改定の前に承諾を得ないと契約が解除されるようになっていた。今後サブスクを利用するに当たっては、契約状況だけでなく、値上げについても注意を払う必要がある。
商品ごとに購入金額を支払うのではなく、一定期間の利用権として料金を支払う方式。もともとは雑誌の「予約購読」「年間購読」を意味する。