ロボット掃除機のような円形の機械が、するすると荷台の下に潜り込んでいく。しばらく自分の位置を微修正して、ぐっと荷台を持ち上げた。緑色のレーザー光を前方に照射させて周囲を認識し、荷台を持ち上げながらゴールへと運んでいく。
米Amazon.com(アマゾン・ドット・コム)は米国時間2022年11月10日、同社初となる完全自律型搬送ロボット「Proteus(プロテウス)」を初めて公開した。これまでの同社の搬送ロボットは床に記された2次元コードなどを読み取って決められたルートを移動する半自動型だった。
プロテウスは事前に指定した搬送先に向かって自律して移動する。周りを認識し、ルートを自由に変えて荷台を搬送することができる。このロボットの最大の特徴は「人と一緒に働ける」点にある。
上の動画を見てほしい。プロテウスが荷台を運んでいる途中で、デモの説明員がその前をわざと横切る。プロテウスはそれを察知して停止し、人がいなくなったことを確認して、移動を再開した。時には回避する動きもするという。
従来のロボットは安全性の観点から人と仕切られた空間だけで使用されていたが、プロテウスは従業員の場所まで荷台を移動させるといった人と協調した作業ができる。
人と機械が協調する時代がすぐそこまで来ている──。2022年11月10日に開かれた新型ロボットの発表会で、アマゾンのロボティクス部門でチーフテクノロジストを務めるタイ・ブレイディ氏は持論を語った。「ここまで来るのに50年かかった。(プロテウスなどの)協調型ロボットが人間の能力を拡張するようになる」(ブレイディ氏)