全921文字

 日本の半導体復権への最初の一歩になるか。先端半導体の製造を目指す新企業Rapidus(ラピダス、東京・千代田)とベルギーの研究機関imecは2022年12月6日、長期的な協業に向けて同意したと発表した。経済産業省とベルギーの地域政府であるフランダース政府がこの合意書(MOC、Memorandum of Cooperation)を承認し、両国の半導体分野における協力強化に向ける。「imecは欧州トップの半導体エコシステムを形成している。MOCを第1段階として、imecとラピダスなどの連携を加速させたい」と経済産業大臣の西村康稔氏は力を込めた()。

図 imecが贈呈した2nm世代プロセスで製造された半導体ウエハーを囲む関係陣
[画像のクリックで拡大表示]
図 imecが贈呈した2nm世代プロセスで製造された半導体ウエハーを囲む関係陣
左から、フランダース政府 首相のJan Jambon氏、imec CEO(最高経営責任者)のLuc Van den hove氏、Rapidus 代表取締役社長の小池淳義氏、同社 会長の東哲郎氏、経済産業大臣の西村康稔氏(写真:日経クロステック)

 imecは、最先端半導体製造に欠かせないEUV(極端紫外線)露光装置を保有し、同装置の世界唯一のメーカーであるオランダASML Holdings(ASMLホールディングス)と共同研究を重ねるなど密接な関係にある。ラピダスが目指す2nm世代以降の半導体製造には、両者が実用化を目指す高NA(開口数)EUV露光装置が必須だ。ラピダスや、政府が主導して設立する新研究基盤LSTC(Leading-edge Semiconductor Technology Center)にとっては、今回の同意は「欠かせないピース」(ラピダス 代表取締役社長の小池淳義氏)である。

†高NA(開口数)EUV露光装置=解像度に比例する開口数(NA)が高いEUV露光装置。