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樹脂系3Dプリンターを手掛ける英Photocentric(フォトセントリック)は、世界最大級の3Dプリンティングの展示会「Formnext 2022」(2022年11月15~18日、ドイツ・フランクフルト)に出展し、新開発した同社最大の3Dプリンター「Liquid Crystal Titan」を展示した。最大造形サイズは700×395×1200mm。32型8K(7660×4320画素)の液晶パネル(LCD)を使って、樹脂を選択的に硬化させる。装置の大型化により、大型部品の造形が可能になるほか、生産性を上げられる。
2002年設立のPhotocentricは、光硬化性樹脂を光で硬化させる「光造形方式」の3Dプリンターやその材料を手掛ける。光造形方式にはパターニング技術の違いで複数の種類があり、同社の3DプリンターはLCDで光を照射する「LCD型」だ*。
*光造形方式の他の型としては、樹脂の硬化にレーザーを使うSLA(Stereo Lithography Apparatus)型や、プロジェクターを使うDLP(Digital Light Processing)型がある。
新開発したLiquid Crystal Titanは同社の従来機「Liquid Crystal Magna」(最大造形サイズ510×280×350mm)では不可能だった大型部品を造形できる。同社担当者は「LCD型の3Dプリンターとしては世界最大になるだろう」と見込む。造形速度は積層ピッチが100μmの場合、16mm/h。XY面の解像度は91μm。2023年の発売を予定している。
通常のLCD型には、樹脂を硬化させるための紫外光によって液晶が急速に劣化するという課題がある。しかし、同社は以前から可視光で硬化する特殊な樹脂「デイライトレジン」をドイツBASFの子会社などと開発しており、Liquid Crystal Titanでも同樹脂を使用して造形する。