IoT(Internet of Things)に適した小型で安価なコンピュータが増えてきた。こうしたコンピューターを使ってIoT機器の開発を実際に体験することで、IoTのハードウエアとソフトウエアに対する理解を深めていく。
IoT(Internet of Things)機器がますます身近な存在になってきています。同時に、小型・格安のコンピューターやマイコンボードは日々進化し、それらを利用することで、手軽にIoT機器やそのプロトタイプ(試作品)を作成できる時代にもなっています。この特集では、IoT時代における新しい電子工作のあり方を示していきたいと思います。
「IoT時代の電子工作」の基本アーキテクチャ
IoT時代の電子工作において重要なのは、無線ネットワーク、具体的には無線LANへの接続機能です。4Gや5Gといった携帯電話のネットワークやBluetoothもありますが、現時点では無線LANが最も扱いやすいと言えます。
現在、このような無線ネットワークの事情を反映して、IoT用途で無線LANに対応する小型・格安のコンピューターやマイコンボードが多数発売されています。それらをIoT機器の中心に据えて使うのが、IoT時代における電子工作の基本的なアーキテクチャです。
スマートフォン(スマホ)やタブレットとの連携も重要です。無線LAN経由でスマホとIoT機器を接続し、IoT機器が取得したデータをスマホで表示したり、スマホでIoT機器を制御したりできなければ、IoT時代の電子工作とは言い難いでしょう。
では、具体的にはどのようにスマホとIoT機器を無線LAN経由で連携させるかですが、主に次の2つの方法が考えられます。
- (1)IoT機器でWebサーバー(Webアプリ)を動かす
- (2)スマホの専用アプリを作成して通信する
(1)であれば、スマホのWebブラウザでIoT機器に接続できるので手軽です。
(2)は、スマホのネイティブアプリを作るとなるとハードルは高いですが、「Pythonista 3」のようなプログラミングアプリを使えば、(1)と同程度の手間で連携を実現できます。
IoT機器を無線LANにつないでしまえば、その先のインターネットへの接続自体は簡単です。インターネットにあるいろいろなWeb APIなども利用できます。
しかし、IoT機器を安易にインターネットに公開すべきではありません。IoT機器へのインターネット経由のアクセスを許すのであれば、セキュリティに対する十分な注意を払う必要があります。それには相応のセキュリティの知識を持たなければなりません。
この特集では、“IoT時代の”と銘打ちながらも、セキュリティ面に配慮して、IoT機器へのアクセスは、同一LAN内からに留めることにします。この点はご了承ください。