IoT(Internet of Things)に適した小型で安価なコンピュータが増えてきた。こうしたコンピューターを使ってIoT機器の開発を実際に体験することで、IoTのハードウエアとソフトウエアに対する理解を深めていく。
現在、「カーボンニュートラル」や「脱炭素社会」が世界的に大きなテーマとなっています。これらを実現するために必要なのは、二酸化炭素(CO2)排出量の削減です。しかし、普通に生活していると、「どの程度のCO2が排出されているのか」を意識する機会は全くないと言ってよいでしょう。これではカーボンニュートラルや脱炭素社会の実現に向けた意識は高まりません。
そこで今回は、空気中のCO2濃度をスマートフォン(スマホ)でリアルタイムに確認できる「CO2濃度測定装置」を作ってみたいと思います。
図1は装置の全体構成です。CO2センサーを接続したIoT向けの小型コンピューター「M5StickC Plus」(図2)とスマホ(iPhone。iPadでもOK)に分かれます。M5StickC PlusはCO2センサーの制御を行い、スマホはM5StickC Plusから送られてきたCO2濃度を画面に表示します。M5StickC Plusとスマホは無線LANルーターを介してUDP(User Datagram Protocol)のプロトコルで通信します。
通信の手順としては、最初にスマホ側からM5StickC Plusへリクエストを送ります。スマホ側に主導権があった方が都合が良いからです。M5StickC Plusはリクエストを受け取ったら、CO2濃度の測定値を送り返します。スマホはこの値を受け取り、画面に表示します。
必要な部品を用意する
では、CO2濃度測定装置の作成に必要な部品を用意しましょう。次のものをそろえます。
- IoT向けの小型コンピューター「M5StickC Plus」
- CO2センサー「MH-Z19C」(図3)
- USBケーブル(Type-C)
- ジャンパーワイヤー(オス-オス型)×4本
- ブレッドボード×2
- iPhoneまたはiPad
中国M5Stackの製品であるM5StickC Plusは、前回使用した「M5StickC」のアップグレード版です。M5StickCよりも大きな、1.14インチの液晶画面を内蔵しています。価格は、スイッチサイエンスのオンラインショップだと3058円です。
今回の中核的な部品であるCO2センサーの「MH-Z19C」は中国Zhengzhou Winsen Electronics Technologyの製品です。筆者の場合、秋葉原にある秋月電子通商で購入しました。価格は2480円でした。MH-Z19Cは、「非分散型赤外線」(NonDispersive InfraRed)という技術を使って、大気中のCO2の割合を測定できます。インタフェースには非同期シリアル通信のUART(Universal Asynchronous Receiver/Transmitter)を採用しているので、CO2濃度の測定値をデジタル的に取得可能です。
図4はジャンパーワイヤー(オス-オス型)とブレッドボードです。回路の配線に使います。