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IoT(Internet of Things)に適した小型で安価なコンピュータが増えてきた。こうしたコンピューターを使ってIoT機器の開発を実際に体験することで、IoTのハードウエアとソフトウエアに対する理解を深めていく。

 今回は、スイッチを押すだけで手軽に電子メールを送信できるIoTデバイス、名付けて「メール送信スイッチ」を作ってみたいと思います。

 図1はメール送信スイッチのシステム構成図です。ここでは、自宅にいる子どもが職場にいる保護者へメールを送るという使い方を想定しています。メールの送信には、Gmailと、この特集で利用しているIoT向けの小型コンピューター「M5StickC Plus」(図2)を使います。

図1●今回作成するメール送信スイッチのシステム構成図
図1●今回作成するメール送信スイッチのシステム構成図
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図2●IoT向けの小型コンピューター「M5StickC Plus」
図2●IoT向けの小型コンピューター「M5StickC Plus」
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 M5StickC Plusに「スイッチA」(緑のスイッチ)と「スイッチB」(赤いスイッチ)を接続します。送信先のメールアドレスはあらかじめ設定しておきます。そして、自宅でスイッチAが押されたら「ただいま」という内容のメールを送ります。スイッチBが押された場合は「連絡ください」という内容のメールを送ります。

 M5StickC Plusは無線LANルーター経由で、インターネット上にあるSMTP(Simple Mail Transfer Protocol)サーバーとの通信を行います。SMTPはメール送信用の通信プロトコルです。

必要な部品を用意する

 メール送信スイッチを作成するために、次の部品を用意します。

  • IoT向けの小型コンピューター「M5StickC Plus」
  • USBケーブル(Type-C)
  • タクトスイッチ×2個
  • ジャンパーワイヤー(リード線・オス-オス型)×3本
  • ジャンパーワイヤー(単線)×1本
  • ブレッドボード

 タクトスイッチは基板に取り付けやすい小型のスイッチです(図3)。電子部品店で1個10円程度の価格で購入できます。この記事では以降、タクトスイッチのことを単に「スイッチ」と呼ぶことにします。今回使用するスイッチには4本の端子が付いています。

図3●タクトスイッチ
図3●タクトスイッチ
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 ジャンパーワイヤーとブレッドボードは配線に使用します(図4)。ジャンパーワイヤーは柔らかいリード線タイプのものと、針金のように固い単線タイプのものの2種類を使います。

図4●左からジャンパーワイヤー(リード線)、ジャンパーワイヤー(単線)、ブレッドボード
図4●左からジャンパーワイヤー(リード線)、ジャンパーワイヤー(単線)、ブレッドボード
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 M5StickC Plusで動くプログラムの作成には、統合開発環境の「Arduino IDE」(https://www.arduino.cc/en/software)を使います。